サムスン、次世代モバイルSoC「Exynos 2500」を発表

世界初の3nm GAA+FOWLP

(サムスン電子の発表より)

韓国サムスン電子は24日、次世代フラッグシップモバイルSoC(システムオンチップ)「Exynos 2500」を発表した。業界初となる3ナノメートル(nm)GAA(Gate-All-Around)プロセスによって量産され、さらに高性能・高効率なFOWLP(扇出型ウェハーレベルパッケージ)封装技術を採用。同社の次期折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip7」への搭載が予定されており、サムスンの半導体製造技術における大きな節目となる。

チップの仕様はすでに公式サイトで公開されており、「製品ステータス」は「量産中」となっている。ただし、歩留まり(良品率)の課題により、初期出荷量は限定的になる可能性がある。

Exynos 2500は、10コアCPU構成を採用。最新のCortex-X5(正式名称:Cortex-X925)を1基搭載し、最大動作周波数は3.30GHz。これに加え、2基のCortex-A725(2.74GHz)、5基のCortex-A725(2.36GHz)、および2基の省電力Cortex-A520(1.80GHz)で構成されている。

GPUには、米半導体大手、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の最新RDNA3アーキテクチャに基づく「Xclipse 950」を採用。レイトレーシング技術をサポートし、モバイル端末上でもコンソール級のビジュアル表現が可能になると期待されている。

AI・接続性能・カメラ機能も大幅に向上

AI処理については、内蔵NPUが最大59TOPSの演算性能を実現し、前モデルExynos 2400と比べて約39%向上。メモリはLPDDR5X、ストレージはUFS 4.0をサポートし、最新スマートフォンの要求に対応している。

カメラ機能では、最大3億2千万画素のメインカメラ対応、8K/30fps動画撮影が可能。通信面では、Bluetooth 5.4、Wi-Fi 7、および最大12.1Gbps(FR2)の5G通信をサポートする。

Exynos 2500は、FOWLP封装によりチップの薄型化と放熱性の向上を同時に実現。これにより、発熱が課題となる高性能モバイルチップでも、安定した動作と効率的な電力消費が可能となる。さらに、Galaxy Z Flip7には均熱板(ベイパーチャンバー)も搭載される見込みで、冷却性能をさらに高める。

サムスンは、「Exynos 2500は各モジュールの低電力設計を強化し、製造プロセス・封装技術を通じて電力効率とパフォーマンスを両立した」と述べている。

Exynos 2500の詳細は、7月に開催予定の「Galaxy Unpacked」イベントでさらに明らかになる見通し。Galaxy Z Flip7の発表とともに、同チップの実機性能にも注目が集まっている。サムスンが3nm GAA技術でどこまでAppleやQualcommに迫れるか、業界の関心が高まっている。

Exynos 2500

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