米国、エヌビディア「H20」の対中輸出を承認

米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)のJen-Hsun Huang(ジェンスン・ファン)最高経営責任者(CEO)は15日、北京訪問中に米国政府からの承認を受け、同社のGPU(画像処理半導体)「H20」の中国向け輸出が正式に許可されたことを発表した。これにより、エヌビディアは直ちに中国市場へのH20の出荷を開始する見通しだという。

エヌビディアは15日、H20の対中販売再開について米政府から「輸出許可が付与された」との声明を発表。併せて、米国の輸出規制に完全準拠した新型GPU「RTX PRO」も中国市場向けに投入することを明らかにした。このGPUは、スマートファクトリーや物流業界における「デジタルツインAI(人工知能)」の構築に最適な設計となっている。

ファン氏は声明の中で「米国政府から輸出許可が下り、いよいよH20を出荷できるようになった。すぐに中国市場での販売を開始できることを非常に嬉しく思っている。これは非常に良いニュースだ」と述べた。また、新たに発表されたRTX PROについても、「これはコンピュータグラフィックス、デジタルツイン、AIのために設計された非常に重要な製品だ」と強調した。

ファン氏は、16日に開幕する「第3回中国国際サプライチェーン博覧会」にもゲストとして登壇予定だ。

ファン氏は今年4月、北京訪問時に、米政府による半導体輸出規制の強化がエヌビディアのビジネスに深刻な影響を及ぼしていると明言。「エヌビディアは中国市場とともに30年にわたり成長してきた。中国は世界有数の消費市場であると同時に、発展著しい産業エコシステムと先進的なソフトウェア技術を備えており、我々の技術革新の大きな原動力となっている」と述べた。

エヌビディアは今後も、規制に準拠した製品体系の最適化を継続し、中国市場へのサービス提供を揺るぎなく推進していく方針を示している。

中国外交部もコメント

中国外交部の林剣報道官は15日、定例記者会見で「我々は通常、企業の行動について具体的なコメントは控える」としつつも、「中国は、科学技術や経済・貿易の問題を政治化、道具化、武器化し、中国に対して悪意ある封鎖や抑圧を行うことに一貫して反対している」と述べた。

さらに、「こうした行為はグローバルな産業チェーンの安定を妨げ、いかなる関係者の利益にもならない」と強調した。

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