韓国IC設計・AI半導体企業、日本への進出加速

韓国の半導体企業が、日本市場への本格進出を進めている。グローバルなシステム半導体分野で未開拓の可能性が広がる日本は、韓国IC設計企業やAI半導体スタートアップにとって、新たな海外成長の鍵を握る戦略的市場とされている。

韓国は現在、世界のIC(集積回路)設計市場でわずか1%のシェアしか持たず、ファウンドリー分野でも半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)などの大手には後れを取っている。

韓国のIC設計企業や半導体IP企業は2025年前半に入り、日本市場で成果を上げつつある。例えば、Openedges Technologyは、自動車向け半導体を手がけるルネサスエレクトロニクスとの提携を6月に発表。同社のメモリサブシステムIPが、CPU(中央演算処理装置)・GPU(画像処理半導体)・NPU(ネットワークプロセッサ)を統合したSoC(システム・オン・チップ)向けの高速・低電力データ通信プラットフォームの開発に利用される予定だ。

また、Openedgesは日本のASIC(特定用途向け集積回路)設計企業との提携も進めており、家庭用電化製品向けのカスタム半導体開発に取り組む。こうした成果は、同社が2024年6月に日本で現地法人と研究開発(R&D)センターを設立してからわずか1年足らずで実現しており、閉鎖的とされる日本市場での急速な信頼獲得を示している。

一方、サムスン電子の設計ソリューションパートナー(DSP)であるSemiFiveも、日本のAIチップ専業IC設計企業との交渉を最終段階まで進めており、AI対応半導体ソリューションに対する日本側の需要の高まりを捉えている。

加えて、AIスタートアップであるRebellionsも日本市場を重要視。24年には日本のベンチャーキャピタルDG Daiwa Venturesからの投資を受け、25年3月には東京支社を設立。今後2〜3年をAI推論半導体分野での主導権確立の重要なタイミングと位置づけている。

愛集微によると、日本ではAI分野のインフラ需要が急増しており、24年には日本政府が生成AI分野に対して1180億円を投入した。30年までにAI・半導体分野に総額10兆円を投資する方針を掲げている。Statistaによると、日本のAI市場規模は25年の101億5000万米ドルから31年には410億米ドルを超える見通しで、これは同期間の韓国市場の2倍以上に相当する。

24年の時点で、日本のシステム半導体市場シェアは世界の8%に達しており、韓国の3%を大きく上回る。ソニー、ニコン、パナソニック、セイコーエプソンなど日本の主要電子機器メーカーは、AIおよびスマートデバイス向けの高度なチップソリューションへの需要を高めている。

これまで日本企業はTSMCを中心とする台湾の半導体エコシステムに依存してきたが、近年では韓国半導体企業との連携が増加しており、東アジアにおける半導体サプライチェーンの再構築が進む兆しをみせている。

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