CoWoS供給逼迫、封測各社はFOPLPへシフト

力成は27年量産狙い、日月光・矽品も布石

AI(人工知能)および高性能計算(HPC)向け半導体の需要が力強く拡大する中、半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の先端パッケージ技術「CoWoS」は今年も供給逼迫が続いている。これを受け、台湾の力成(PTI)、日月光(ASE)、矽品(SPIL)など台湾の封測大手は、扇出型先端パッケージ技術の拡充を急ぎ、新たな受注獲得に動いている。コスト面や大面積対応に優位性を持つ扇出型パッケージは、早ければ2027年初頭にも量産ビジネスが立ち上がると見込まれている。

TSMCは1月中旬の法説明会で、今年も先端パッケージ分野への投資を拡大する方針を示し、同分野の売上高が全体の10%を超える可能性があると説明した。一方、CoWoSの供給が限られる中、他の半導体メーカーや封測各社は先端パッケージ能力の増強に注力しており、特に扇出型パッケージが重点分野となっている。

業界関係者によると、TSMC、日月光、力成、群創、矽品など台湾勢は、扇出型パネルレベルパッケージ(FOPLP)の布局を加速している。さらに、アムコー(Amkor)、Nepes、サムスン電子傘下のサムスン電機(SEMCO)など海外勢も同技術に参入している。中でもアムコーは、シリコンウエハー統合型の扇出パッケージ技術「S-Swift」を通じ、AIチップ大手エヌビディア(NVIDIA)向け受注の拡大を狙っている。

封測大手の力成はFOPLPへの投資を積極化しており、蔡篤恭董事長は、同社がFOPLPを中核とするAIチップ向けの包括的な先端パッケージソリューションを提供できると説明した。対象はAIチップ、CPU、ASICに加え、光学エンジンやシリコンフォトニクスと統合したAIチップ(CPO)などにも広がっている。

蔡氏は、今年末までにFOPLPの顧客認証を完了し、最短で2027年初頭に量産を開始、2028年半ばには生産能力がフル稼働になるとの見通しを示した。また、TSMCが展開するCoWoS-LおよびCoWoS-Rと、力成が長年取り組んできたFOPLPは技術的に近く、FOPLPはより大面積対応が可能な点で大きな機会になると述べた。

力成によれば、同社のFOPLP技術は大きく4種類に分類され、chip-last方式はガラス基板を用いた再配線(RDL)を組み合わせ、TSMCのCoWoS-Rに類似する。一方、chip-middle方式はCoWoS-Lに近い構成となっており、AIチップ統合プラットフォームでの将来性を見込んでいる。

業界では、CoWoSの主要生産能力がエヌビディア向けに優先的に割り当てられていることから、他のAIチップ顧客の先端パッケージ需要が、力成のFOPLPにとって重要な商機になるとの見方が出ている。

日月光は「VIPack」先端パッケージプラットフォームの構築を進め、FOPoP、FOCoS、FOCoS-Bridge、FOSiP、TSVを用いた2.5D/3D IC、さらに光学素子の共同パッケージングなど、6つの中核技術を統合。HPC、AI、機械学習向けに、高帯域幅メモリー(HBM)や光学部品を組み込む先端用途を狙っている。

FOCoS-Bridgeについて日月光は、AIやHPCでは電力供給が複雑化しており、TSVを備えた先端ブリッジチップが不可欠だと説明する。同社の高密度パッケージ技術は、受動・能動チップを内蔵し、電源完全性の向上と直接アクセスによる性能改善を可能にするとしている。

業界関係者は、日月光や力成が進める扇出型パッケージは、RDL工程を用いることでコスト低減が可能で、ウエハーサイズの制約を受けず大面積化できる点を強調する。これにより、より多くのHBMや異種チップを統合でき、将来のAIサーバー向けチッププラットフォームの高度化・統合トレンドに適合するとみている。

日月光投資控股傘下の矽品は、扇出型マルチチップモジュール(FO-MCM)や、扇出型埋め込みブリッジ(FO-EB)技術を長年にわたり開発してきた。市場関係者によれば、矽品はHPCやAIチップの後工程でエヌビディアと緊密な協力関係にあり、同社のバンプ工程でもエヌビディアのAI検査システムを採用していることから、先端パッケージ分野での協業拡大が期待されている。

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