BYD、中国初の4nmプロセス自動運転チップ「璇玑A3」を発表

(BYDの発表より)

中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD、広東省深セン市)は5月28日、中国初の4ナノメートル(nm)プロセス自動運転チップ「璇玑A3(Xuanji A3)」を発表した。王伝福会長は「電動化の上半戦はバッテリーを見よ、インテリジェント化の下半戦はチップを見よ」と述べた。

璇玑A3はBYD初の自社開発自動運転チップで、中国初の自主設計・自主テープアウト・自主量産による4nm車載グレードの自動運転チップでもある。

璇玑A3は4nmプロセスを採用し、16コアCPUを搭載、DMIPSは420K、メモリ帯域幅は273GB/sを実現している。1台の車両に3チップを搭載することで、車両全体の総算力は2100TOPSを超え、L3(条件付き自動運転)およびL4(特定の条件下で完全自動運転)レベルの自動運転を実現する。エネルギー効率の面では、単位計算力当たりの消費電力が同クラス製品より20%低く、BYD自社開発アルゴリズムとの深度最適化を組み合わせることで計算力利用率が100%向上した。安全面では、ISO 26262 ASIL-Dの最高機能安全等級認証を取得している。王氏は発表会で、4nm車載グレードの自動運転チップはコンシューマー向けチップの2nmに相当し「難易度は非常に高い」と強調した。

中国の複数のメディアの報道によれば、同チップはすでに規模化量産段階に入っている。

ウエハー5工場体制

璇玑A3の発表は、BYDの24年間にわたるチップ開発の集大成となった。王氏によれば、BYDのチップ研究開発は2002年に始まり、現在までに2,000種類以上のチップ製品を発表しており、スマート自動車・コンシューマーエレクトロニクス・家電・産業機器・太陽光発電・蓄電の5大分野に及ぶ。このうち車載向けチップは567種類に達し、13大カテゴリーにわたって世界46の自動車ブランドにサービスを提供しており、中国最大の車載グレードチップ企業となっている。

研究開発(R&D)リソースの面では、7,000人超のチップ研究開発チームを擁し、累計チップ研究開発投資は1,000億元(約2兆3500億円)を超え、4つの研究開発拠点と5座のウエハー製造工場を構築している。四川省成都市にある12インチウエハー工場は、中国最大規模の車載向けチップ製造に特化した最先端ライン。BYDは製品定義・アーキテクチャ設計・回路設計・レイアウト設計からウエハー製造・パッケージング・テストに至る7大工程の全プロセスを自社でカバーしており、チップの全プロセス・全チェーン製造能力を持つ世界唯一の自動車メーカーとなっている。

1080線LiDARを初搭載

自社開発チップ以外にも、BYDは同発表会で全車種にLiDER(ライダー、高性能センサー)バージョンの運転支援システム「天神之眼B(Tianshen Eye B)」搭載をオプション設定すると発表した。オプション価格は一律1万2,000元に統一されており、数万元台の入門モデルでも高度な自動運転ハードウェアを選択できるようになる。

同スマートカー戦略を支えるのは、LiDAR分野でのBYDの技術開発だ。自社開発のLiDARは全固体デジタルアーキテクチャを採用し、線数は1,080線に達し、最大検知距離は600メートルに及ぶ。今年下半期中の搭載が予定されている。

310万台で1日2億キロ超のデータ生成

王氏は発表会でBYDのインテリジェント化下半戦における3大コア目標として「ゼロ交通事故」の実現、人類トップドライバーに匹敵する「スーパードライバー」の構築、そしてユーザーを理解し協調できる「スーパーセクレタリー」の実現を掲げた。これらの目標は知覚ハードウェア・AI(人工知能)アルゴリズム・データの急速な進歩によって「将来必ず実現できる」と述べた。

BYDの自動運転システムの反復開発を支えるのは膨大なデータ量だ。2026年3月31日時点で、運転支援機能搭載車種の保有台数は310万台を突破しており(天神之眼およびファーウェイQiankun自動運転搭載車種を含む)、天神之眼が1日に生成する走行距離データは2億キロメートルを超えている。同3月のBYD運転支援搭載車種の月間販売台数は12万9,610台に達したとした。

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