米政府、NVIDIAの半導体輸出制限に中東を追加

中国への横流し懸念か

米国政府が、同国半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の人工知能(AI)用半導体の輸出制限の対象に中東を追加したもようだ。サウジアラビアとアラブ首長国連棒は近年、AI開発を強化しており、米国は、NVIDIAの高性能半導体が中東から中国に横流しされる事態を懸念しているとの見方がある。

NVIDIAは8月28日、米国証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で、2024年第2四半期に、中東とその他エリアの特定の顧客にハイエンドGPUの「A100」および「H100」を販売する際に追加の許可を得るよう、米国政府から通知されたことを明かした。

もっとも、中東は米国の規制の対象でないことは明らかで、米国の狙いは依然として、自国の高性能GPUチップの中国企業への販売を制限することにある。

中国とサウジアラビアは2022年にAI分野で緊密な提携を締結した。サウジアラビアの公立の研究大学であるサウジアラビア・アブドラ王立科学技術大学は、総額1億2,000万米ドル(約176億8,600万円)でH100チップを少なくとも3,000個購入済みで、これらは年末に納入されるという。

米国は昨年8月、A100およびH100チップに代表される高性能GPUの輸出を制限。翌月の9月には、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もAIチップ「MI250」の対中輸出が事実上ストップした。

こうしたなか、NVIDIAは故意に性能を落としたH800とA800モデルを開発し、中国に向けて販売している。これらはA100およびH100チップよりもコストが高くつくものの、高性能な演算パフォーマンスを発揮できるとされ、米政府は今後、H800とA800チップも規制の対象に加える可能性も否定できない。

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