サムスン、1.4nm半導体量産を2029年に延期 2nm技術へ集中強化

韓国サムスン電子は1日、同社の半導体受託製造(ファウンドリー)部門で次世代の1.4ナノメートル(nm)プロセスの量産計画を2029年に延期すると発表した。これは当初予定していた2027年から2年の遅れとなる。

同戦略は、ソウルで開催された「SAFE Forum 2025」にて明らかにされたもので、サムスン電子ファウンドリー部門の副社長で設計プラットフォーム開発責任者の申鐘信氏が発表した。これにより、サムスンは競合する半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)が掲げる28年の量産目標より1年遅れることになる。

今回の方針転換は、主に稼働率の低下による収益悪化への対応策とみられている。業界推計によれば、サムスンのファウンドリー部門は23年に先端プロセスからの主要顧客離脱により約4兆ウォン(約4000億円)の赤字を計上したとされる。

サムスンは依然として、今年中に2nmプロセス(SF2)の量産を計画しているが、その後の技術ロードマップを再編。28年までに第2世代「SF2P」および第3世代「SF2X」など、2nm技術の安定化に注力する方針だ。

加えて、収益性の確保に向けて、技術的に安定している4nm、5nm、8nmプロセスの稼働率向上にも取り組むという。このため、サムスンはパートナー企業に対し、プロセス精度を高め顧客を引きつけるための設計資産(IP)の開発を要請している。

当日は、同プロセスを採用する韓国の半導体企業TelechipsおよびAIチップ開発企業Rebellionが、サムスンとの協業事例を発表した。

業界関係者は「サムスンのファウンドリーはプロセス競争力においてTSMCに劣っている」と指摘し、「1.4nmで世界一を競うよりも、実利を重視したファウンドリー事業の強化を図る戦略だ」と分析している。

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