米の対中規制強化で高まる中国の「半導体国産化」機運
米国の対中半導体規制強化は、中国の半導体国産化の機運を一段と高まらせている。米国商務省産業安全保障局(BIS)は2日、中国に対するAI(人工知能)と半導体の輸出管理を強化した改訂版「輸出管理規則(EAR)」を発表した。2025年1月20日に就任するトランプ次期米大統領は対中半導体規制をさらに強化するとの見方が大勢で、中国で進む半導体の国産代替の動きはさらにスピードアップするとみられる。
経済網によると、車載チップの開発を手掛ける納芯微電子の創始者である王昇楊董事長最高経営責任者(CEO)は先ごろ、「中国の半導体産業は、トランプ米政権が半導体を対象に対中制裁関税を課した2018年当時、サプライチェーンが大きく立ち遅れていたが、5年を経て、状況は変わった。ほぼ大部分の領域、特にレガシー分野では、設計から製造まで、ひいては製造設備、材料、半導体設計を自動化するEDAソフトウェアといったさらに川上に至るまで、国内のサプライチェーンは飛躍的な進歩を遂げた」と述べた。
今年5月の報道によると、車載半導体の輸入依存度低減に向けて、中国工業情報化部は上海汽車集団など中国自動車大手5社に対して、2025年の車載半導体の国内調達率を20~25%に高めるよう要請したとされる。
王氏によると、アナログ集積回路(IC)とミックスド・シグナルIC(1つのチップにアナログ回路とデジタル回路の両方を含むIC)の分野では、中国の国産化率は平均10%程度にとどまる。しかし個別にみると、絶縁型ゲート・ドライバやデジタル・アイソレータなど、電気自動車(EV)の電池、電機、電子制御(三電)に主に活用される製品の国産化率は50%を超えた。以下、車載搭載用電源供給ユニットや角度センサなどが20~40%、車載モーター制御向けのSoC(System on Chip)や車用ABSスピードセンサーが10~20%と続き、国産率が最も低いのは、駆動用モーター、車載パワー・マネージメントIC (PMIC)/システム ベーシス チップ(SBC)など車用コックピットシステムや自動運転技術に活用される製品で、5%を下回る。
王氏は、「中国でこれまで進めてきた製造業の国産化は、海外よりも価格が安い製品を供給して市場を開拓するものだったが、技術プラットフォームや技術力がコストの主な決定要素となる半導体は、このロジックが成立しない。中国が半導体分野の研究開発やイノベーションの源泉へと変化を遂げ、中国企業がその源泉の一番近くにいることが半導体国産代替の最大の強みとなっている」と述べた。