中国開発の超高速リニアで5G、技術的問題克服か
中国が開発を進める超高速リニアモーターカーで、5G(第5世代移動通信システム)ネットワークによる超高速モビリティーを実現する計画について、低真空チューブ内の壁に2本の特殊ケーブルを並行に敷設するだけで、基地局設置問題を解決できることを研究チームが突き止めた。
観察者網が1日伝えた。東南大学移動通信国家重点実験室の宋鉄成教授率いる研究チームは11月、この研究結果を学術誌「鉄道通信信号」で発表した。それによると、これらの特殊ケーブルは電磁信号を「漏出」させ、これによって基地局を介さずとも、スマートフォンとモバイル通信プロバイダーとを持続的かつ安定的につなぐことができる。さらに、高効率なコーディング技術を活用し、いくつかの重要な信号制御パラメータを調整することで、周波数の変化によってもたらされる通信干渉を克服できるという。同方法は、すでにコンピューターシミュレーションによって、初歩的な検証が行われ、現在主流の5G標準仕様下におけるデータ交換の過程で、安定した通信の質を維持できることが証明された。
中国が開発を進める超高速リニアモーターカーは、低真空チューブの中を時速1000キロメートルで走行する。音速に近い速度で走行中に、電話端末と基地局間の高速通信を維持することは技術的ハードルが存在する。端末が基地局に接近したり、遠く離れたりする際に受け取る信号の周波数は変化しやすいが、高速データ通信は高い周波数の環境を安定的に維持しなければならないためだ。低真空チューブ内に基地局を設置し、維持していくことは、非常に難しい。ケーブルが振動で脱落すれば、高速走行する列車にとって重大な脅威となる。
今回の検証には、中国航天科工集団の磁気浮上・電磁推進技術総体部に属するエンジニアらも参加した。中国航天科工集団は山西省大同市に低真空チューブ内を走行する超高速リニアモーターカーの研究基地を設け、原寸大試作車の高速実験を開始した。