半導体インフレ到来、メモリだけでなくスマホCPUも最大50%値上げへ

22日付の中国メディア、快科技によると、半導体市場に“インフレ”の波が押し寄せている。これまで高騰が目立っていたメモリだけでなく、スマートフォン向けプロセッサも大幅値上げが進み、最大で50%もの急騰が見込まれている。
米Apple(アップル)は最新のスマートフォン「iPhone 17」シリーズに3ナノメートル(nm)世代「A19」チップを採用、次世代の「A20」では2nmプロセスに移行する見通しだ。一方、Android(アンドロイド)陣営のメ台湾の聯発科技(MediaTek)や米Qualcomm(クアルコム)も3nm世代のCPU(中央演算処理装置)開発を最終段階に迎えており、3nm製品の価格は前世代比で約20%上昇。さらに2026年から本格化する2nm世代では、価格が50%以上跳ね上がる可能性が伝えられている。
このタイミングで、次期モバイル向けプロセッサ「天璣9500」、クアルコムは「Snapdragon 8 Elite Gen 5」を相次いで発表予定。両者ともアップルの「A19」と同じ台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の最新プロセス「N3P」を採用し、性能・省電力性は向上したが、販売価格は前世代を大きく上回るという。サプライチェーン筋によれば、3nm世代ながら最新プロセスの採用により16〜24%の値上げとなっている。
来年にはいよいよ2nm時代が到来。TSMCは巨額の設備投資を背景に、良率もすでに目標を達成しており、割引や価格交渉の余地はほぼないとされる。初期はAI(人工知能)や高性能演算向けチップから量産が始まり、年末にはスマホ向けフラッグシップチップが続々と出荷される見通し。供給網関係者は、1個あたりの単価が最大280米ドル(約4万1400円)に達する可能性を指摘している。
さらに、AIデータセンター需要を背景にメモリやストレージも逼迫。韓国サムスン電子、SKハイニックス、米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)、Western Digital(ウエスタンデジタル)、SanDisk(サンディスク)といった大手各社が値上げを検討しており、納期も従来の1か月から半年以上に延びつつある。
業界専門家は「価格上昇は衝撃的だが、性能と電力効率で飛躍的な進歩があれば、消費者は受け入れるだろう」と分析。その一方で、買い替えサイクルの長期化や、よりコストパフォーマンスの高い端末へのシフトにより、フラッグシップ機の出荷台数は減少する可能性もあると指摘している。



