米インテル、ファウンドリー戦略を見直しへ 新規顧客に14Aプロセスを直接適用検討

米半導体大手のIntel(インテル)が、自社のファウンドリー(半導体受託生産)事業における戦略を大幅に見直す可能性が浮上している。事情に詳しい関係者2人によると、同社の新最高経営責任者(CEO)のLip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏は、外部顧客の獲得を目的として、これまで重点を置いていた「18A」プロセスを飛ばし、新規顧客向けに次世代の「14A」プロセスを直接適用することを検討しているという。米ロイター通信が2日伝えた。
この方針が実行に移されれば、インテルは長年開発を進めてきた一部の半導体製造技術を外部に提供しない方向に転じることになる。
今年3月にCEOに就任して以来、タン氏は迅速にコスト削減に取り組むとともに、業績不振が続くインテルの再建策を模索してきた。6月には、前CEOのパット・ゲルシンガー氏が巨額を投じて開発を進めてきた18Aプロセスが新規顧客にとって魅力を失いつつあるとの見解を示したという。
関係者の1人は、インテルが18Aおよびその改良版である18A-Pプロセスの外部販売を見送る場合、数十億米ドル規模の開発費が帳簿上で減損処理される可能性があると指摘する。業界アナリストの間でも、18A関連の資産減損が数億米ドルから数十億米ドルにのぼると見る向きがある。
インテル側は、こうした「仮定に基づく憶測にはコメントしない」と述べており、18Aプロセスの主な顧客はあくまで自社であり、2025年後半にはノートPC向けプロセッサ「Panther Lake」の生産を本格化させる予定だとしている。このチップは、インテルが「米国史上最も先進的なプロセッサ」と位置づける製品だ。
しかし、インテルのファウンドリ事業の成否は、外部顧客からの受注拡大にかかっている。同社は今年後半にも18Aプロセスでの量産を開始する計画だが、自社向けのチップ生産が外部顧客より先行する見通しだ。
こうした中、タンCEOは当面の対応として、より競争力のある次世代プロセスである14Aに資源を集中させる考えを示しており、同社は14AがTSMCの同等技術を上回るとみている。また、重要顧客のニーズに合わせて14Aチップの仕様をカスタマイズすることで、事業成功を目指す方針だ。
関係者によれば、タン氏はすでにインテル社内に対し複数の戦略案の準備を指示しており、取締役会は早ければ今月中にも、18Aプロセスの外部提供の是非について協議に入る見通しだ。