砺算科技初の6nm GPU「G100」の性能が判明、RTX 4060とは“雲泥の差”

中国のGPU(画像処理半導体)スタートアップ企業、礪算科技(LISUAN TECH、上海市)は先月24日に、自社初となる6ナノメートル(nm)プロセス高性能GPUチップ「G100」がパッケージング(封止)を終え、24時間以内に正常に機能確認したと発表し、国内外で注目を集めた。一部では「性能は米NVIDIA(エヌビディア)のGeForce RTX 4060に匹敵する可能性があるとの期待も寄せられていたが、最新のOpenCLベンチマーク結果が明らかになると、その期待は大きく裏切られる形となった。

芯智詢が伝えた。性能評価プラットフォーム「Geekbench」によると、G100のOpenCLスコアは15,524点だった。これは2012年発売のNVIDIA の「GeForce GTX 660 Ti(Kepler世代)」や、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の「Radeon R9 370(GCN 1.0)」とほぼ同等か、わずかに上回る程度だ。

一方、比較対象とされたRTX 4060のスコアは101,198点に達しており、G100との差は6.5倍以上。少なくとも現段階のG100は、エントリークラスのGPUにも満たない性能であることが浮き彫りになった。

自社開発の「TrueGPUアーキテクチャ」

G100は、砺算科技が独自開発した「TrueGPUアーキテクチャ」を採用しており、同社によれば、グラフィックスレンダリング性能とAI推論能力の両立を目指した次世代型融合アーキテクチャだという。コアにはユニファイドシェーダー + テンソルエンジンを組み合わせ、高い汎用計算性能を提供する設計となっている。

また、DirectX 12.2、Vulkan 1.3、OpenGL 4.6、OpenCL 3.0など、最新のAPIにも幅広く対応しており、「3Aクラスのゲームやプロ用グラフィックスソフト、AIエージェント(Copilot、RAG、コード生成等)にも対応可能」としている。

スペック情報とテスト環境

ベンチマークデータによると、G100は計算ユニット(CU)32基、GPUコアクロック:300MHz、VRAM:256MB(ただし誤検出の可能性あり)。テストはAMD Ryzen 7 8700G、DDR5-4800 64GBメモリを搭載したColorful製マザーボード「Battle-AX B650M-Plus」で、Windows 10環境下で実施された。

なお、300MHzという異常に低いクロック、256MBという少なすぎるVRAMなどから、「ドライバやファームウェアの完成度が不十分な状態での計測」である可能性も指摘されており、G100の“本来の実力”はまだ不明とも言える。

砺算科技はG100の上位モデルや、さらなる開発ロードマップを描いているとみられるが、少なくとも今回テストされたG100はエントリーレベルGPUであり、RTX 4060クラスに並ぶことは現実的ではない。

とはいえ、中国国内でのGPU国産化の動きが加速する中で、今回の成果は一定の技術的進展とも評価できる。今後、ドライバの最適化や次世代アーキテクチャの進化を経て、どこまで性能を引き上げられるかが注目される。

砺算科技

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