米国、東南アジア産の太陽電池に最大3403%の関税方針 中国企業を標的か

米国商務省は現地時間21日、東南アジアから輸入される太陽電池およびモジュール(パネル)に対して、最大3403.96%という非常に高い関税を課す方針を明らかにした。これらの製品は、実質的には中国の工場で製造されたものであるとされており、今回の措置はそれらに対する反ダンピング税および相殺関税として実施される。
対象となるのは、カンボジア、タイ、ベトナム、マレーシアから輸入される太陽電池製品で、米商務省はこれらが不公正な価格設定や政府補助による競争優位の恩恵を受けていると結論づけた。具体的な関税率は、カンボジアが最大3403.96%、タイが最大799.55%、ベトナムが最大542.64%、マレーシアが最大168.80%とされている。
中国の大手太陽光パネルメーカーである昊能光電(Hanersun)、天合光能(Trina Solar)、晶科能源(JinkoSolar)などが特定企業として関税対象となる可能性が高い。これは、昨年一部の米国企業が起こした貿易訴訟を受けて、米国政府が下した最終的な判断の一環である。
中国資本による太陽電池関連工場は東南アジア各地で急増しており、これらの国々は現在、米国市場における主要な太陽光製品の供給元となっている。今回の発表を受けて、米国国際貿易委員会は6月2日に最終決定を下す予定。
バイデン政権は、国内産業を保護するためとして中国からの太陽光関連製品に対して厳しい制裁措置を続けており、今年1月1日には中国製の太陽電池用シリコンウエハーやポリシリコンの関税を50%に引き上げた。中国は太陽電池の原材料から完成品まで、世界の供給網の約90%を担っており、その価格競争力は各国の再生可能エネルギー導入を支える存在でもある。
今回の米国の措置により、太陽光関連の国際的な供給網に混乱が生じる懸念があるほか、各国の企業が中国製品への依存度を再評価せざるを得ない状況となる可能性がある。日本を含む各国の再エネ業界にも今後影響が波及する可能性がある。