全固体電池の実用化カウントダウン、日中韓企業が競争

次世代の電気自動車(EV)用電池の本命とされる全固体電池を巡り、日中韓企業による量産競争が本格化している。自動車大手や電池メーカーが続々と量産スケジュールを明らかにしており、全固体電池の実用化はカウントダウンに入った。

車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)は2024年4月、27年に全固体電池を小規模生産する計画を発表した。比亜迪(BYD)も今年2月15日、27年に全固体電池を試験的に車両に搭載すると明らかにした。それから10日後の2月25日、中国科学院の欧陽明高院士は北京で開かれた「中国電動汽車百人会(チャイナEV100)フォーラム」で中国自動車市場での固体電池の実用化について、27年に小規模搭載、30年に大規模搭載が可能になるとの見通しを述べた。

全固体電池の技術では、日本企業が世界をリードしている。台湾の調査会社トレンドフォースによると、世界で出願された全固体電池関連特許は日本企業で36%を占め、中国企業と韓国企業が各27%でこれに続いている。

また、量産に向けた進ちょくをみても、中国企業は、すでに試作段階にあるトヨタ、日産、サムスンSDIに後れをとっている。

もっとも中国の巨大な市場潜在力は、全固体電池をめぐる今後の主導権争いにおいて、中国企業にとっての強みとなり得る。韓国の調査会社SNEリサーチによると、2024年の世界の車載電池搭載量ランキングは、上位10社のうち6社を中国企業が占め、世界シェア7割を掌握。日韓企業をランキング圏外に押し出した。LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKオンの韓国電池3社の24年第4四半期決算は、いずれも巨額赤字を記録した。

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