中国の半導体輸入量が21%減の衝撃、米規制で加速する国産化

中国海関(税関)総署の発表によると、2024年第1四半期(1~3月)の中国の半導体輸入量は前年同期比21%も減少した。これは3500億元(約7兆1300億円)分の受注が米国企業の帳簿から消失したことに相当する。中国半導体業は徐々に自給率を高め、輸入依存型からの脱却を進めている証拠とされている。
2024年の中国の半導体輸入量急減に対し、米国は中国半導体業界の発展を阻止したものとして祝杯を挙げただろが、これは中国が半導体を必要としなくなったのではなく、自給体制を構築し始めたことに他ならない。
たとえば、中国最大の半導体メモリーメーカー、長江存儲科技(YMTC)は232層の3D NANDチップの製造に成功した。性能の高さもさることながら、サムスン製品を下回る低価格で顧客への供給を開始した。また、半導体製造装置大手の上海微電子装備集団(SMEE)は、28ナノメートル(nm)プロセスの半導体製造に使用される半導体リソグラフィ装置を開発し、さきごろ製品検査を通過した。さらに半導体受託製造大手の中芯国際(SMIC)は、これらの国産半導体製造設備の導入を計画している。こうした動きはすべて、中国の半導体業界が対外技術依存からの脱却を進めていることを説明している。
人材の還流もみられる。かつて海外の大手半導体メーカーに在籍していた中国人技術者が続々と帰国し、国内企業の半導体研究チームに加わった。また、中国を代表する総合大学で、半導体人材の育成を強化している清華大学の卒業生の多くが、海外ではなく、国内のスタートアップを就職先に選んだ。
中国人ネットユーザーからは、「米国は自業自得。3500億元の受注が泡と消えて、米国企業のトップは頭を抱えているだろう」「米国は中国の半導体技術を抑えつけようとしたのに、結果的に中国の自力更生を後押しした」などといった米国の政策を辛らつに批判するコメントがみられる。