小米のSoC自社開発前進、3nm品のテープアウトに成功

中国のスマートフォン大手の小米(北京市、シャオミ)は、回路幅が3ナノメートル(nm)のSoC(システム・オン・チップ)のテープアウトに中国企業で初めて成功した。順調にいけば、同チップを搭載したスマホを来年にも発表する。

中国中央電視台、北京衛視が20日に放送した番組で、北京市経済情報化局のチーフアナリストを務める唐建国氏が明らかにした。小米がスマホ向けSoCの自社開発で大きく躍進したことを意味するものであり、米国の経済制裁を受けて半導体チップの国産化を目指す中国の国家戦略を大きく前進させるものでもある。

テープアウトは半導体製造工程における設計の最終段階の区切りを指し、その成功は、量産を開始するための条件が整ったことを意味する。

小米は2017年に自社初のSoC「澎湃S1」を発表し、自社製の低価格帯のスマホに搭載したが市場の反応は芳しくなかった。2020年には後継SoCの「澎湃S2」のテープアウトに6回失敗したとの情報が流れるなど、独自SoCの開発は「茨の道」だった。

台湾紙『経済日報』によると、小米の3ナノチップの性能は米半導体大手Qualcomm(クアルコム)の「Snapdragon 8 Gen3」や、台湾の聯発科技(メディアテック)の「Dimensity 9300」といった現行の旗艦SoCの同等レベルに到達、またはそれを超越した。技術レベルも澎湃S1の28ナノから一気に3ナノへと跳躍しており、量産に成功すれば、アップルのA17 Pro及びA18/A18Pro、メディアテックのDimensity 9400、Snapdragon 8 Eliteに続く量産型の3ナノ半導体となり、中国の半導体技術の躍進を示すものとなる。

もっとも、業界関係者によると、小米のスマホ向け3ナノSoCは、台湾のメディアテックとの共同開発品である可能性が高い。2社は今年7月、スマホの共同実験室を設立した。

また量産後は、半導体の受託生産で世界シェア6割を占める台湾の台湾積体電路製造(TSMC)に生産を委託せざるを得ないとみられる。中国のファウンドリー最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)も近年は技術レベルを急速に上げ、早ければ年内にも5ナノ半導体の生産が可能になると言われているが、TSMCとの技術格差は依然として大きい。

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