中国のRFフロントエンドデバイス業界、「淘汰と集約」加速へ
中国の半導体市場で、5G(第五世代移動体通信システム)通信に不可欠なRFフロントエンドデバイスの領域が混戦状態にある。米中半導体摩擦を背景に多くの中国企業が内製化に乗り出すなか、数十億米ドル規模の市場に100社超の大小企業がひしめき合っている構図となっており、競争力を持たない企業の淘汰が進みそうだ。
騰訊網が伝えた。RFフロントエンドを構成する部品は、フィルター、パワーアンプ、スイッチ、ローノイズアンプ、アンテナチューナ、デュプレクサーなどある。華経産業研究院によると、価格比率はフィルターが53%、パワーアンプが33%と2大部品で8割超を占め、スイッチとローノイズアンプが合計9%、その他が5%となっている。
同比率に当てはめると、中国の2027年のRFフロントエンド市場は、フィルターが39億米ドル(約5,809億円)、パワーアンプが24億米ドル、スイッチとローノイズアンプが7億米ドル、その他が4億米ドルとなる計算で、市場規模は十分に大きいとはいえない。
しかも、一握りの大手企業が圧倒的なシェアを確保しており、勢力図はすでに出来上がっている。たとえば、RFスイッチとローノイズアンプの領域では、江蘇卓勝微電子(マックスセンド・マイクロエレクトロニクス)が大量の顧客と強固なサプライチェーンを強みに7割のシェアを独占しており、残り3割のパイを7~8社が奪い合っている状況だ。
さらに、5G時代の到来はスマートフォン(スマホ)のフロントエンド部におけるモジュール化を加速させ、結果的に、RF部品の全面的なバージョアンアップ・世代交代を促した。たとえば、4G時代は、一部のスマホメーカーのみがPAモジュールとFEMiDを複合化したPAMiDを採用したが、5Gでは、PAMiDにローノイズアンプを組み合わせたL-PAMiDや、PAモジュールとフィルターを組み合わせたL-PAMiFがミドル・ハイエンドモデルに標準搭載されるようになり、関連技術を持たないRFチップメーカーは撤退を余儀なくされた。
スマホフロントエンドのモジュール化の流れは、中国の有力RF部品メーカーに新たな商機をもたらしている。スマホ分解調査のスペシャリストの分析によれば、2020年から21年にかけて、華為(ファーウェイ)、小米(シャオミ)、OPPO、vivo、栄耀(Honor)といったスマホメーカーが発表した価格帯1,500~2,000元の多くのモデルにモジュール化ソリューションが採用された。