SFエクスプレス、オフィスビル向け宅配ロボ投入
中国運送最大手の順豊速運(SFエクスプレス、広東省深セン市)はこのほど、深セン市南山区中央ビジネス区(CBD)のオフィスビル内で、自律走行する配送ロボット「方糖」4台を使った宅配サービスを開始した。配送センターから顧客までをつなぐ物流の「ラストワンマイル」を効率化する。
配送ロボット「方糖」は、AGV(無人搬送車)の北京雲迹科技(北京市)と共同開発した。長さ49センチ、幅42センチ、高さ98センチで、キャビン容積は最大70リットル。最大移動速度は毎秒1.5メートルで、エレベーターの単独乗り降り、坂道の昇降、障害物の回避ができ、1日に最大70件の荷物を配送できるという。
各オフィスビルに配置された配送ロボットは、順豊の配達員などから荷物を受け取ると、自らエレベーターに乗って各階に到着。すると各階にいる荷主のスマートフォンに到着の情報を送信される。荷主は配送ロボットの画面やスマホで操作すると、荷物が受け取れる仕組みとなっている。
中国の電子商取引(EC)大手企業の京東が、毎年6月18日に開催する大型ECセールイベント「618商戦」を前に配送ロボを投入し、人件費の削減と、スピーディな配達を両立させる狙いもある。
順豊は2月、江蘇省無錫市の商業ビル内で配送ロボット「方糖」を投入し、商業ビル内で初めて宅配ロボットを稼働させた物流企業となっていた。
広東電商報などによると、順豊の担当者は「オフィスビルへのロボットの投入は、順豊が進めるイノベーションの一部に過ぎない。今後、複合商業施設や学校、病院、高級住宅などにも配送ロボットを投入し、顧客により一層深くテクノロジーの力を感じてもらう」と述べた。
■「ラストワンマイル」のDXで効率化
順豊はデジタルトランスフォーメーション(DX)に積極的に取り組んでおり、ロボットにとどまらず、人工知能(AI)、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)といったテクノロジーを業務に活用している。2017年から22年にかけて研究開発分野に投じた額は160億元(約3,131億円)で、うち22年の投資額は35億元と、韵達快逓(YUNDAエクスプレス)、徳邦快逓(DEPPONエクスプレス)、申通快逓(STOエクスプレス)、円通速逓(YTOエクスプレス)の同業4社を合わせた同期の研究開発投資の3.8倍だった。
DXの効果は業績にも反映されている。同社の22年の売上高は前年比29.1%増の2,674億9,000万元、純利益は44.6%増の61億7,000万元だった。