TSMC、米国での先端パッケージ拠点を加速 28年に新工場着工へ

半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)が、米国での先端パッケージ事業の展開をさらに強化する方針だ。米国に計画中の2つの先端パッケージ工場について、2028年の着工を目指して準備を進めており、AI(人口知能)や高性能コンピューティング(HPC)向けチップの需要に対応する狙いがある。
9日付台湾・MoneyDJ新聞によると、TSMCの先端パッケージ工場は、アリゾナ州に建設中の第3ウエハー工場(F21 P3)と連携する形で設置される予定で、最初に導入されるのは「CoWoS」ではなく、より進化した「SoIC」と「CoPoS」技術になるという。SoICは、すでに量産実績のあるTSMCの最先端パッケージング技術で、今後はCoWoSや次世代のCoPoSと統合される見通しだ。
第3工場では、2ナノメートル(nm)プロセス「N2」と、より先進的な「A16」プロセスが導入される予定で、TSMCはすでに2025年第2四半期(4〜6月)に設備搬入を開始するよう、サプライヤーに通知している。さらに、第4工場もN2およびA16を採用予定で、第5・第6工場では一層高度な製造技術の導入が計画されている。これらの工場の建設および量産スケジュールは、顧客の需要に応じて柔軟に調整されるという。
TSMCの新技術「CoPoS」はまだ立ち上げ段階だが、より成熟しているSoICはすでに米半導体大手、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の製品で量産実績があり、今後はApple(アップル)、NVIDIA(エヌビディア)、Broadcom(ブロードコム)などもハイエンド製品への採用を予定している。26年にはCoPoSの試作ラインが設立され、本格的な量産は台湾・嘉義のAP7工場で28年末から29年にかけて開始される計画だ。