中国移動、「RISC―V」ベースのNB―IoT対応チップを発表
中国の通信大手、中国移動(チャイナモバイル)傘下の半導体チップメーカー、芯昇科技(江蘇省南京市)はこのほど、IoT(モノのインターネット)向け通信チップ2種を発表した。オープンな命令セット・アーキテクチャ(ISA)である「RISC―V(リスクファイブ)」をベースとしており、うち1種は、ナローバンドIoT(NB―IoT)に対応する。RISC―VがIoT機器向けの規格であるNB―IoTの領域に活用されるのは初めてという。
NB―IoT対応チップは、40ナノメートルプロセスを採用した。もう1種は、CaT-1ビスチップで、22ナノメートルプロセスで製造された。
中国で半導体チップの国産化が大々的に推進されるなか、無償かつオープンソースのRISC―Vは、チップ開発で海外勢を追い越すための重要技術と目されてきた。中国移動の今回の発表は、市場規模が急拡大しているNB―IoT対応チップ市場における海外勢の優勢を打破するものと期待されている。
RISC―Vは、いまのISAの主流であるX86(米インテル)やARM(英アーム)と比較し、開発のハードルがかなり低いとされる上、開発者はオペレーティングシステム(OS)をLinuxやUnixからRISC―Vへとスムーズに移行できるという。
中国工業和信息化部のリポートによると、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国移動(チャイナモバイル)の中国通信3社のNB―IoT契約件数は、2022年10月末時点で17億7,700万件と、前年末から3億7,900万件増えた。携帯電話契約数を9,482万件上回り、モバイルネットワーク端末アクセス数の比率は51.4%に拡大した。