華為の三つ折りスマホ、発売に期待寄せる中国サプライチェーン企業
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が三つ折りスマートフォンを近く発売するとの観測に、中国のサプライチェーン企業が期待を寄せている。華為は折り畳みスマホに参入した当初、中国のディスプレーパネル最大手の京東方科技集団(BOE)の有機EL(OLED)パネルを採用し、同社の競争力向上に一役買っており、こうした成功の再現性が期待されている。
BOEは、華為の折り畳みスマホ人気を受けてOLEDパネルの出荷が急増。増収増益で得た資金を研究開発に投じて技術を磨いた。その後、その他のアンドロイドスマホメーカーにも製品供給を始め、最終的には韓国製を上回る低コスト生産を実現した。
ディスプレイ業界のサプライチェーンを対象に調査レポートを発表しているDSCCによると、国内向け販売の増加を受けて、BOEの折り畳みスマホ向けパネル出荷量は2023年第4四半期に初めてサムスンを追い抜いて世界トップに躍り出た。
折り畳みスマホに採用される超薄型ガラス(UTG)に関しても、華為は縦折りスマホ「Pocket 2」に凱盛科技の製品を初採用し、中国国内のサプライチェーンを開拓した。華為の三つ折りスマホに関しても、「凱盛科技製のUTGを採用することで、コストをポリイミドフィルム(CPI)に匹敵する水準に抑えることを可能にした」との情報がある。
三つ折りスマホがサプライチェーンにもたらす成長余地は巨大だ。三つ折りスマホがOLEDパネルの大サイズ化を促すことは疑いなく、中国の大型OLEDパネルラインの設置を推進すると見込まれる。また消息筋情報によれば、華為の三つ折りスマホパネルは、新しい炭素繊維材料が採用される見通し。
華為に追随して、中国のスマホメーカーも三つ折りスマホの投入に動き出す公算は大きく、こうした動きも中国のサプライチェーンの技術成熟度を上げ、生産コストを削減する効果を生むだろう。早ければ2026年末にも発売されるとみられているアップルの折り畳み式「iPhone」についても、「中国のサプライチェーン企業から部品を調達する可能性が極めて大きい」と報じるメディアもある。
華為の三つ折りスマホ発売の観測は、同社のコンシューマー事業部門のトップである余承東氏が、未発表の三つ折りスマホを使用しているところがカメラにとらえられことで一段と信ぴょう性が増している。華為は、競争が白熱化する中国の折り畳みスマホ市場でシェア42%を掌握。1万元以上の高価格機種に限ると67%のシェアを独占するなど単独リードの状況にあるが、これに甘んじることなく、三つ折りスマホ投入とう次の手に動き、市場トップの地位をさらに盤石化させる狙いだ。