カナダ政府、中国監視カメラの海康威視に営業停止命令

カナダ政府は現地時間6月27日、「国家安全上の懸念」を理由に、中国監視カメラなどセキュリティー機器大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION、浙江省杭州市)のカナダ法人に対し、同国内における120日間の業務停止および営業拠点の閉鎖を命じたことが分かった。これを受けて、同社は29日に声明を発表し、強く反発した。
海康威視は声明で、「カナダ政府は、中国の『国家安全法』や『国家情報法』に対する誤った解釈に基づき、当社の国有資本構造を問題視し、いかなる証拠も提示せずに、国家安全を損なう可能性があるとして営業停止を命じた。これは事実を無視し、正当な手続きを欠いた、透明性のない行為であり、中国企業に対する差別的な圧力だ」と指摘した。
海康威視は2001年11月の設立。創業当初はわずか28人のチームによる音声・映像圧縮ボードの開発からスタートした。03年には映像圧縮アルゴリズム「H.264」を監視カメラ分野に導入、06年からはAI(人工知能)技術への投資を始め、07年には海外市場への進出とAIカメラ製品の初投入を実現した。
2010年5月には深セン証券取引所の中小板市場に上場。11年には世界の監視カメラ市場でトップのシェアを獲得。16年にはAI対応の製品ラインを強化し、18年にはAIプラットフォーム「AI Open Platform 2.0」を発表している。21年には「スマートシティー・デジタル基盤」をリリース、22年にはAIoT(スマートIoT)戦略を打ち出した。さらに23年には独自のAI大規模モデル「観澜大模型」を公開し、24年10月には湖北省武漢市に建設した工場「海康威視武漢サイエンスパーク」が稼働を開始した。スマートホームやマシンビジョン、車載エレクトロニクス、ロボット、スマートストレージ、スマート消防といった分野にも事業を拡大し、その製品とソリューションは世界150以上の国・地域で展開されている。
中国商務部「差別的な措置」と反発
中国商務部の報道官は30日、記者会見でカナダ政府の今回の決定について、「中国側はこれに対して強い不満を表明するとともに、断固として反対する」と指摘。「国家安全審査の結果、同社の事業継続はカナダの安全保障を損なう」と説明しているが、中国側はこれを「事実に基づかない一方的かつ差別的な措置」として強く非難した。