ASMLの4~6月期、中国売上比率は2期連続49%
オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLが17日発表した2024年第2四半期(4~6月)決算は、中国向けの売上比率が2四半期連続で49%だった。成熟プロセス向け設備に対する中国の力強い需要が続いた。
同社の4~6月期の売上高は前年同期比10.1%減の62億ユーロ(約1兆582億円)だった。半導体不況のあおりを受けたものの、減収幅は1~3月と比べて縮小した。うち、中国向けの売上比率は、韓国の28%、台湾の11%を大きく上回り、4四半期連続で40%を超えて最大市場だった。
米国の同業大手も中国依存度が高い。アプライド・マテリアルズの2~4月期は中国での売上貢献度が前年同期比22ポイント上昇の43%、ラムリサーチの1~3月期は同貢献度が20ポイント上昇の42%だった。
日本のメディアは、「米国は半導体サプライチェーンの構築に尽力しているが、半導体設備製造企業は中国という最大市場への依存から脱却できておらず、米国の対中輸出規制の流れに逆行している」と報じた。
この状況を作り出している大きな要因としては、先端半導体分野での規制が強化されるなかで、中国企業が成熟プロセスを用いた半導体製造能力を拡大していることが挙げられる。中国の半導体受託製造(ファウンドリー)最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)は今年1~3月の設備投資額が前年同期比83%増の159億元に拡大した。同社は半導体不況下に関わらず過去2年で北京、上海、深センの製造ラインを拡充し、今年3月末時点のウエハー生産能力は200mm(8インチ)ウエハー換算で前年同期比11.3%増の81万5000枚となった。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の予測によると、2023年に前年比5.5%拡大した世界の半導体生産能力は、24年にさらに6.4%増える。国・地域別では、中国が伸び率13%で世界最速となる見通しだ。
28ナノメートル(nm)プロセス以前の成熟プロセスは、ハイエンド型とミドル・ローエンド型が存在する。うち、5Gスマートフォンや車載向けのCMOSイメージセンサー(CIS)、RFフロントエンド・モジュール(FEM)、モーター駆動やメモリ制御に用いられるマイクロコントロールユニット(MCU)などのハイエンド型は、システム機能の統合能力の問題や、実証試験の複雑さといった参入ハードルの高さから、中国での国産化率は低い。それぞれFEMが25%、車載CISが15%、車載MCUが10%に満たない水準にあり、裏を返せば国産品への代替余地が大きいことを示している。