テスラのSiC使用量75%削減方針、中国パワー半導体業界に冷や水

電気自動車(EV)大手の米テスラが3月の投資家向け説明会で、次世代モデルの炭化ケイ素(SiC)の使用量を従来比75%削減する方針を示したことは、中国のパワー半導体業界に衝撃をもたらしている。

EV業界では、モーター制御用インバーター向けのSiCパワー半導体の採用が増えており、中国の新興EVメーカーの間ではSiCの国内調達を望む声は多い。テスラのSiC削減方針は、SiCサプライチェーンの構築を目指す中国の市場の動きに冷や水を浴びせる形となった。

もっとも、SiCパワー半導体の応用市場は、EVの電動パワートレーンにとどまらない。EV急速充電器向けの市場が急拡大しているほか、太陽光発電、風力発電、蓄電、水素エネルギーなど分野でも活用が進んでいる。

国策の追い風もある。2021年から始まる中国の第14次5カ年計画(〜25年)と35年までの長期計画では、SiC、GaN(窒化ガリウム)に代表される第3世代半導体向け新材料・新技術の産業化を推し進める方針が示された。22年に中国で新たに立ち上がったSiC関連投資プロジェクトは476億元(約9,329億6,000万円)と、18年の50億元から大幅に増加した。

台湾の市場調査会社トレンドフォースによると、中国の車載向けSiCデバイス市場規模は2022年に10億米ドル(約1,384億円)に達しており、26年は39億4,000万米ドルが見込まれている。

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