中国の半導体は「なお10年差」、米技術機関報告が指摘

米国の主要半導体技術機関であるSemiconductor Industry Association(SIA)とSemiconductor Research Corporation(SRC)がこのほど共同発表した「世界半導体技術発展白書」によると、中国半導体産業は過去10年にわたる集中投資で「0から1」への歴史的突破を成し遂げたものの、産業チェーン全体のコア技術では依然として世界最先端のレベルからは「約10年の差」があると指摘した。
SIAとSRCの白書は、世界の設計・製造・装置・材料に至る全産業チェーンを網羅し、120項目のコア技術を評価した内容。政治的主張ではなく技術データに基づく分析である点が特徴だ。中国半導体産業は10年にわたる集中投資で「ゼロから1」への歴史的突破を成し遂げ、複数の国際的独占を打破した。しかし、産業チェーン全体の核心技術では依然として世界最先端水準に約10年の差があると結論つけている。
10年で得た成果
2016年当時、中国の半導体自給率は5%未満。14ナノメートル(nm)技術は研究段階にとどまり、先端装置の国産化率は8%未満で、ほぼ全面的に輸入に依存していた。それが25年には、中国半導体業界協会の統計で自給率は18.7%へ上昇した。
ファウンドリー(半導体の受託製造)大手の中芯国際集成電路製造(SMIC、上海市)は先端深紫外(DUV)露光装置による実質7nmプロセスを量産化し、歩留まりは90%超で安定。国産AI(人工知能)チップやスマートフォン向け高性能チップの供給を支えている。
中国最大のNANDフラッシュメーカー、長江存儲科技(YMTC、湖北省武漢市)は321層3D NANDフラッシュメモリを量産し、韓国サムスン電子や米Micron Technology(マイクロン・テクノロジー)と同等水準の記憶密度に到達したともされている。長江存儲科技の17nmプロセスのDDR5は国際サプライチェーンにも参入している。
MCU(マイクロ・コントロール・ユニット)設計開発の中微半導体(深セン)(Cmsemicon、広東省深セン市)は2nm対応エッチング装置で世界大手ファウンドリーの認証を取得し、特定分野で先行している。
それでも残る「10年差」
しかし白書は、「10年差」の中身を具体的に示す。例えば先端プロセスでは、半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)が25年に2nmを量産し、26年には1.4nmのリスク生産を開始予定。一方、SMICの最先端量産は実質7nm、5nmは小規模段階にとどまる。2~3年ごとに世代交代する業界のペースを踏まえれば、差は約8~10年となる。
露光装置では、オランダのASMLがHigh-NA EUVを量産出荷し1nm未満を視野に入れるのに対し、中国は28anmDUVの量産段階にとどまる。
EDA(電子設計の自動化)ソフトウエアでも海外3大企業が市場の95%超を握り、中国製は成熟プロセスの一部工程のみ対応。先端IPコア、フォトレジスト、大口径シリコンウエハー、特殊ガスなど基礎材料分野でも8~12年の差があるとされる。
半導体は長期蓄積型産業
報告は同時に、中国の追い上げ速度が業界平均を大きく上回り、10年で海外の約30年分を進んだとも評価する。米国の制裁は国産代替を加速させる触媒になった側面もある。
しかし半導体は長期蓄積型産業だ。世代ごとの進化には膨大な研究投資と基礎研究の積み重ねが不可欠だ。海外大手は60年以上の技術基盤を持つ。中国の10年は「あるかないか」を解決した段階であり、「強いかどうか」にはなお時間が必要だという。長期視点を維持し、基礎研究と全産業チェーンの強化を続けるならば、この10年差はいずれ突破への原動力となる可能性もある。



