米対中制裁が好機に、中国半導体業界の内製化加速
米国が半導体技術の対中国輸出規制の姿勢を強化していることについて、中国の多くのメディアや専門家が「中国の半導体産業の内製化を加速させる好機」と分析している。首都経済貿易大学の郭年順教授は、「諸外国による技術供給停止や技術封鎖は、結果的に‟中国創造”のチャンスをもたらす」との認識を示した。騰訊網などが伝えた。
郭氏によれば、中国通信大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁措置をきっかけに、中国の半導体業界では生産能力の拡大と先端プロセス技術開発の動きが一気に加速した。
事実、華為が2019年下半期以降に大量出荷した5G基地局、スマートフォンの上位モデル「Mate 30」や「P40」はいずれも重要部品において「脱米国依存」と「国産化率上昇」を実現。以前は国産品に代替するのは困難と言われていた部品でさえも、中国の川上企業が開発に成功、または技術的なブレースルーを果たした。
12年に開催された中国共産党第18回全国代表大会以降、中国政府は折に触れて重要技術のブレークスルーと自主制御力の強化を強調してきた。20年10月に発表した「国家中長期経済社会発展戦略における若干の重要問題」では、「科学技術イノベーションと輸入代替力の全面的拡大」と「重要製品とサプライチェーンに関し、最低でも1つの代替ルートを確保し、産業のバックアップシステムを形成する」との文言を明示した。さらに2021年3月に開催された全国人民代表大会(全人代)で採択した「国民経済・社会発展第14次5カ年計画と35年までの長期目標要綱」では、科学技術の自律自強を国家発展の戦略的支柱にするとした上で、主戦場とみなす最先端分野を挙国体制で強化するとの方針を掲げた。