人型ロボット普及で膨らむレアアース需要、中国依存度高く

中国の有力金融ニュースサイト「wallstreetcn.com」は5月28日掲載の記事で、「産業革命はロボットと不可分であり、ロボットはレアアースと不可分であり、そしてレアアースは中国と不可分である」という現代の産業構造における中国の圧倒的な重要性を強調した。

国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2023年の中国のレアアース供給の世界比率は、鉱山での生産ベースで6割超、加工段階で9割超を占めており、中国はレアアース加工分野において「ほぼ独占的なコントロール権」を有している。米国地質調査局は、2020~23年に米国市場に流通したレアアース化合物とレアアース金属は、7割が中国から輸入されたと報告している。

人型ロボットの普及は、レアアースの需給矛盾を一層拡大させる見通しだ。モルガン・スタンレーの試算によると、人型ロボットは1体当たり平均0.9キログラムのレアアース金属が必要で、特にネオジム・プラセオジムなどの磁石用レアアースがコア材料となっている。

米Tesla(テスラ)の人型ロボット「Optimus」は、1体当たり2~4キログラムのネオジム磁石を使用しており、うちネオジム・プラセオジムの使用量は0.6~1.3キログラムと、電気自動車(EV)1台分の用量に相当する。

エネルギー調査会社ウッド・マッケンジーの予測モデルに基づくと、人型ロボットの普及に伴い、ネオジム・プラセオジム市場は2037年ごろから供給不足に陥り、供給量に対する市場の不足分は、2039年の1~14%から2050年に16~35%に拡大する。この需要増は、2050年までに8000億ドル規模の重要鉱物資源の追加需要を生み出す可能性があるとされる。

このような状況下で、レアアースの供給をほぼ一手に握る中国は、今後の産業革命の進展、特にロボット産業の未来に対して絶大な影響力を持つことになる。モルガン・スタンレーによると、新しい鉱山の開発・建設には平均で17.8年という長い時間がかかるため、米国は予見可能な未来において依然として中国のレアアースに依存し続ける見通し。代替供給源を確保しようとしても、品質、経済性、環境への配慮といった問題が立ちはだかり、レアアース資源の確保は米国にとって「数十年にわたる問題」になるとみられる。

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