TSMCの2nm量産開始間近、1枚あたり最大3万米ドルに価格高騰

半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)の2ナノメートル(nm)プロセスがいよいよ量産開始を迎える。2nmプロセスによるチップ設計から製品化までの総コストは約7億2500万米ドル(約1036億7500万円)にも達し、TSMCの2nm製造価格は1枚あたり3万ドル(約429万円)に跳ね上がる見込みだ。

サプライチェーン関係者の話によれば、2nmプロセスによるチップ設計から製品化までの総コストは約7.25億ドル(約1130億円)にも達し、TSMCの2nm製造価格は1枚あたり3万ドル(約470万円)に跳ね上がる見込み。

さらに、今後登場予定の「A16(オングストローム:1000万分の1mmレベル)」プロセスでは、その価格が最大4万5000米ドルに達する可能性があるとされ、利用できるのは一部のトップ企業に限られるとの見方も出ている。

TSMCは今年末にも2nmプロセスの量産を開始し、初期の月産能力は3万枚を目指す。26年には新たな設計案件(新規テープアウト)が5nm世代と比べて4倍に増加するとの予測もあり、先端プロセスの採用がチップ設計企業の競争優位性を左右すると指摘されている。

台湾の工商時報などによると、すでに米半導体大手、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の次世代サーバープロセッサ「EPYC」がTSMCで2nm製造に入っており、日本の富士通もAI(人工知能)向けCPU(中央演算処理装置)に2nmを採用予定。

また聯発科技(メディアテック)は今年9月にも2nmチップ設計を完了し、26年にフラッグシップスマートフォン向け「Dimensity 9600」として発表される可能性がある。米半導体大手のQualcomm(クアルコム)も「Snapdragon 8 Elite Gen 3」を2nmで開発中とされ、Apple(アップル)のSoC「A20」「A20 Pro」やPC「Mac」向けSoC「M6」シリーズも同様に2nmプロセスを採用する予定だ。

さらに27年までには、クラウド大手各社(CSP)もTSMCの2nmプロセスに参入すると予測されており、Google(グーグル)の第8世代「TPU」、Amazon(アマゾン)AWSの「Trainium 4」、Microsoft(マイクロソフト)の「Maia 300」などが2nmに移行する計画があるという。

Tags: , , , , , , ,

関連記事