華為の任正非氏、「中国半導体企業は多くが優秀」
人民日報がインタビュー

10日付中国・人民日報は一面に、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、広東省深セン市)の任正非・最高経営責任者(CEO)へのインタビュー記事を掲載した。華為は米国からの技術封鎖や半導体規制などの主なターゲットとなっており、ほとんどマスコミの個別取材を受けない任氏の見解が注目されている。
華為の開発するAI(人工知能)向けチップ「昇騰(Ascend)」について、米国が使用リスクを警告していることについて問われると、任氏は「中国のチップ企業はたくさんあり、多くが良い仕事をしている。華為はその1社に過ぎない。米国は華為の実力を誇張している」と述べ、自社の技術力を過大評価する見方に対して冷静な姿勢を示した。また「単体チップでは米国に一世代遅れているが、数学や非モア原理、集群計算(クラスタ計算)を活用することで、実用には問題ない」と語った。
中国の半導体業界全体については「特に化合物半導体には大きなチャンスがある」とし、「中国の中低端チップ分野は十分に勝機がある」と前向きな見通しを示した。また、ソフトウェアは数学記号とコードの集積であり、「首を絞められることはない」とも述べ、中国のIT発展における強みを強調した。
また、基礎科学や理論研究の重要性についても長く語り、「基礎研究がなければ、技術の基盤とならない」と指摘。研究成果がすぐには評価されないケースとして、抗日戦争期に栄養学研究を行ったロ登義氏や、抗マラリア薬・青蒿素を発見した屠呦呦氏の事例を挙げ、「科学のブレイクスルーは理解者が少なく、孤独なもの。我々は戦略的に忍耐を持ち、彼らを支えるべき」と訴えた。
華為では年間1800億元(約3兆6000億円)の研究開発(R&D)費のうち、600億元を基礎研究に投じており、これについては「成果を求めない」と説明した。
AIは「人類最後の技術革命」
AIの未来に関しては「人類にとって最後の技術革命かもしれない」と指摘した。特に「アルゴリズムはITエンジニアではなく、エネルギー、基礎建設、医療など各分野の専門家が握っている」とし、実践を通じた中国型AIモデルの創出に自信を見せた。
また、民間企業への国家の支援については「法治化・市場化を進めること。企業は価値創造と技術突破、法令順守、納税を果たすべき」と述べ、健全な市場環境の重要性を強調した。
最後に「国家がより開かれた存在になることは、我々自身の進歩を促す。政令の通達性、全国市場の一体化が進めば、あらゆる封鎖を突破し、偉大な復興を達成できる」と語り、国家の未来に対する強い信念を示した。