米国、医薬品と半導体の輸入調査を開始 関税導入に向け準備加速

米商務省は現地時間14日、医薬品と半導体の輸入に対する調査を正式に開始したことを《連邦公報》を通じて発表した。将来的な関税導入に向けた布石とみられ、トランプ政権が通商政策を強化する姿勢を鮮明にした格好だ。
公報によると、今回の調査は1962年制定の《通商拡大法》第232条に基づくもので、国家安全保障を理由とした関税措置の発動が可能となる。政府は17日に関連文書を公表し、そこから21日間にわたり一般からの意見募集を実施する方針。なお、232条調査は発表から最大270日以内に結論が出されることになっている。
既存の対中依存と関税戦略
トランプ氏は先週、輸入半導体に対する関税率を近日中に発表する意向を表明しており、特定の企業には「柔軟な対応」を示唆している。また、米国は医薬品や半導体を含む一部製品を対象外としていた既存の10%輸入関税(4月5日施行)からも段階的に適用対象を拡大する可能性がある。
米国は現在、半導体の大部分を台湾など海外に依存しており、バイデン前大統領はこの状況を打破すべく、数百億ドル規模の「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」を通じて国内生産の拡大を図った。今回の調査では、医薬品本体だけでなく、原料成分や関連派生製品も対象に含まれる。
既存調査との連動も視野に
トランプ政権はすでに銅や木材の輸入に関する232条調査を実施中であり、かつての政権時代に進めた鉄鋼・アルミ・自動車への関税措置もこの枠組みを根拠にしていた。今回の措置は、今年1月の大統領復帰後に新たな通商攻勢の一環として進められている。
National Security Investigation of Imports of Pharmaceuticals and Pharmaceutical Ingredients