トランプ米大統領の「相互関税」、対中国は125%に上げ

トランプ米大統領は9日午後、同日発動したばかりの「相互関税」の上乗せ部分について、日本など一部の国・地域に90日間の一時停止を許可すると発表した。5日に課した10%の一律の相互関税は維持する。一方、報復措置として米国に対し84%の関税策を打ち出した中国に対しては、関税を125%に引き上げるとした。即日実施する。

自身のSNSで明らかにした。これまでに75カ国・地域以上が米政権に接触しているとしており、90日間の一時停止で通商交渉を有利に進める狙いがあるとみられる。さらに背景には、株式や通貨に加えて安全資産とされた米国債まで売られる「トリプル安」が進んだことで、米国は金融危機の一口まで迫っていたこともあるとみられている。

米国債は最も安全な資産の一つとされて経済の混乱時の優良な投資先となってきたが、関税発動による物価上昇が米金融当局による利下げを遅らせるとの予測が市場で大勢になったことで、資金避難先としての立場を失いつつあった。また中国など外国勢が米国債を大量に売却しているとの臆測も広がって、長期国債相場が急落し、世界的に長期債売りが加速していた。

中国は、米国が仕掛けてきた「貿易戦争」に徹底対抗する姿勢を示している。10日は、全ての米国製品に対する84%の関税を発動した。

また中国人民銀行(中央銀行)が国有銀行に対し、米ドルの購入を減らすよう要請したとの観測も流れている。積極的に米ドルを売って人民元を買うことで、人民元為替の下落ペースを和らげ、中国からの輸出を助ける狙いがあるとみられる。

10日の上海外国為替市場で、人民元は一時1米ドル=7.351元台後半を付け、2007年12月以来となる17年4カ月ぶりの元安水準となった。

中国商務部、米国に関税措置の早期解除を要請

中国商務部の報道官は10日、「米側のいわゆる相互関税措置に対し、米国内だけでなく国際社会も広範な反対を表明していることに留意した」とし、「中国側は米側に対し、一刻も早く一方的な関税措置を解除し、対等な立場での対話を通じて相違を適切に解決する正しい軌道に戻るよう促す」と述べた。

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