トランプ米大統領、台湾製半導体チップへ100%関税を検討か=米紙

米Wiredの4日付報道によると、トランプ米政権が半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)や他の台湾チップメーカーに100%の関税をかける可能性を検討しているもようだ。世界の半導体業界が大きな混乱に陥る可能性が出てきた。

報道によると、トランプ関税は台湾製半導体チップそのものだけでなく、台湾製チップを搭載した米Apple(アップル)の人気スマートフォン「iPhone」などの電子製品にも適用される計画もあるという。トランプ政権は、台湾製チップを含む最終製品すべてに関税を課すか、またはチップ関税をすべての国・地域に拡大し、米国での生産が唯一の実行可能な選択肢となるよう仕向けるのが狙いだ。

TSMCは3日、米国に1000億米ドル(約14兆9200億円)に及ぶ追加投資をし、3つのウエハーファブ、2つの先端パッケージング工場を建設すると発表している。

TSMCは現在、世界の最先端チップの約90%を生産しているが、もしトランプ関税が発動されれば、TSMCが値上げを余儀なくされる。専門家は「TSMCの顧客が代替品を見つけることは困難だ。アップルと米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)など米国企業は、TSMCへの発注を継続する可能性が高く、最終的にコスト増加分は消費者に転嫁されるだろう」と予測した。

一方で、専門家は「米国政府にとって台湾の半導体に対して実際に関税を適用することは非常に難しく、トランプ氏が望むように米国内での半導体製造を増やすように誘導することはできないだろう」と指摘する。

TSMCのチップは、一般的にそれ単独で米国に輸入されておらず、直接課税することは困難だ。例えば、TSMCはiPhone用のチップを生産しているが、通常は中国本土やインドでiPhoneに組み立てられ、中国やインドから米国にiPhoneの完成品として輸入されているためだ。

また関税によって外国企業が米国内でチップを生産するように促すには、生産コストが他の場所よりも低くなければならないが、米国は高い人件費だけでなく、高レベルの半導体サプライチェーンが欠如している。TSMCなどが米国に生産移転するには数年以上または十年以上かかることがあり、米国の拠点が利益を上げられる見通しは立てらず、現実的ではないだろうと指摘している。

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