EV大手の中国BYD、日本の乗用車市場に参入
23年からSUVなど3車種
中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(広東省深セン市、BYD)の日本子会社、BYDジャパン(神奈川県横浜市)は21日、日本市場に乗用車を投入すると発表した。同社は7年前から日本でEVバスを販売していたが、EV乗用車は初めて。日本で今後EV乗用車の需要が高まると判断した。
BYDが今年7月に100%出資して設立した乗用車販売サービス専業の子会社、BYD Auto Japan(横浜市)が2023年1月からSUV「ATTO 3(アットスリー)」を皮切りに、コンパクトカー「DOLPHIN(ドルフィン)」、ハイエンドセダン「SEAL(読み:シール)」の3車種を順次販売開始する。
希少金属の使用量を減らしてコストを低減した自社開発のバッテリー「ブレードバッテリー」を搭載する。1回の充電で走行できる航続距離は、SUVが485キロメートル、セダンが555キロなどとなっている。予定販売価格は未発表。
BYDは、乗用車のほかEVバスやEVトラックなどの商用車も含む新エネルギー車(NEV)を世界70超の国と地域、400超の都市で展開する世界最大手の自動車メーカーの一つ。特に乗用車は21年、前年比220%増の約60万4000台のNEVを販売した。22年上半期(1~6月)には前年同期比3倍超となる約64万台を販売し、NEV販売台数世界トップとなった。
日本政府は35年までに国内新車販売で電動車100%を実現することを決定し、電動化が急務とされる一方で、2021年の日本におけるEV販売実績は約1%に留まっている。
BYD Auto Japanは2025年末までにすべての都道府県に販売店などを展開する目標だ。航続距離の長さや日本メーカーより抑えた車体価格、ラインアップの多さなどで日本市場を攻略していくとみられる。
海外メーカーが攻勢
海外勢の日本EV市場への参入が相次いでいる。韓国の現代自動車(ヒュンデ自動車)が5月から日本でEVと燃料電池車(FCV)の販売を始めたほか、東南アジアや欧州の自動車メーカーもEVを投入した。
一方、日本勢もトヨタ自動車とスバルが5月に初めて量産型のEVを発売、日産自動車と三菱自動車も6月、軽自動車EVの販売を開始しており、普及が出遅れていた日本でも今年に入りEV市場をめぐる競争が本格化している。