中国がセルラーIoT推進、軽量版5G「RedCap」導入加速
中国は、携帯電話回線を使ってモノをインターネットに接続するセルラーIoT通信網の整備・活用に力を入れる。関連インフラの整備や、AI(人工知能)やクラウドコンピューティングとの融合活用を進め、2027年までに第4世代移動通信システム(4G)および第5世代移動通信システム(5G)を上手に組み合わせたインテリジェントで安全性の高いセルラーIoT網の産業生態系を整えるとの方針を提示。小型・低消費電力・低コストを実現するIoT機器向けの5G仕様である「 RedCap(Reduced Capability)」の導入加速を重点推進項目の一つに掲げた。
中国工業和信息化部(工業情報化部)は12日、「セルラーIoTの発展推進に関する通知」を出した。通知では、セルラーIoTの供給レベルを高め、産業全体の価値を高める推進力とすることで、セルラーIoTを「すべてのインターネット(IoE、万物互聯)」から「すべてのスマートコネクティビティ」へと発展させる方針を掲げた。スマート工場、物流、行政、環境セグメント、スマートカー、スマート医療などへの実装を進める。
具体的なミッションとして、4Gと5Gを組み合わせたセルラーIoTの産業生態系づくりを提示。うち5Gに関しては、多数のIoT端末のネットワーク接続を低消費電力で実現するNB-IoT(Narrow Band-IoT)や、通常の5Gから高速通信の機能を4Gレベルに抑えることで、端末の低消費電力化や小型化、並びに低価格を実現するRedCapの活用を重点推進内容に組み入れた。
工業情報化部は4月、5G軽量化(RedCap)推進事業を進めるための2024年版ガイドラインを通知。12月までに100の地級以上の都市でRedCapネットワークを完成させることを地方政府に求めた。これに呼応して、江蘇省では中国聯通(チャイナ・ユニコム)傘下の江蘇聯通が9月11日、承建区でRedCap対応の5G基地局の商用運転を開始した。河北省通信局は同月6日、省内地級市および雄安新区県域で5G RedCapネットワークの商用接続を開始したと発表した。山西省は25年末までに県級以上の全エリアをカバーするRedCapネットワークを完成させ、5G RedCap接続数を1万件に到達させる目標を設定した。重点業界や重点分野での活用を推進する。
中国はすでに世界最大規模でカバー範囲が最も広い通信ネットワークインフラを完成させた。工業情報化部によると、2024年8月末現在のセルラーIoT接続数は16億9800万台となり、携帯電話利用者数を初めて上回った。11月末には18億1800万台に増えると見込まれている。