中国産「手術ロボット」、約10種が販売許可取得
海外勢の寡占状態にある中国の手術支援ロボット市場で、中国企業が巻き返しを図っている。光大証券の研究リポートによると、中国では2021年以降に手術ロボの産業化が一気に加速し、22年からこれまでに10種あまりの国産手術ロボの販売が許可された。
光大証券は、手術ロボの活用事例の拡大や、ロボットを使って行う手術の保険適用範囲の拡大につれて、手術ロボの導入率は今後さらに拡大していくと指摘。中国製ロボの集中的な発売は、海外の技術に独占されている手術ロボの分野で、国産品による代替を後押しするとの見方を示した。
ダヴィンチを開発した米インテュイティブサージカルは2017年、中国製薬大手の上海復星医薬集団と合弁で「直観複星医療器械技術(上海)」を設立し、ダヴィンチの中国での現地生産を開始した。中国産ダヴィンチは全国300あまりの病院に380台超が導入され、これまでに54万人を超える患者の手術に使われた。
このほかにも中国ロボ市場には、メドトロニック、ストライカー・コーポレーション、シーメンス、ジョンソン・エンド・ジョンソンといったグローバル大手や、微創医療機器人(MedBot-B)、ハルビン思哲睿智能医療設備、北京天智航医療科技などの中国企業が参入している。
上海復星医薬集団の呉以芳董事長は、12日に開催されたフォーラムに出席した際、「手術ロボ市場はすでにライバル不在の“ブルーオーシャン”ではなくなった。今でも複数の企業が続々と参入している」と述べた。中国は手術ロボの導入件数が海外と比べるとまだ少なく、市場ポテンシャルは大きい。プレーヤー数の増加に伴って競争が激化するなかで、どの企業が勝者となっていくかが注目される。
市場調査会社の米フロスト&サリバンの報告によると、2017年に8億8000元(約190億円)だった中国の手術ロボ市場規模は21年に41億9000万元に拡大した。25年は188億8000万元、30年は687億2000万元に達すると予想される。