「半導体国産化」急ぐロシア、技術は20年前・歩留まり50%届かず

ミクロンの新型マイクロコントローラ「MIK32 Amur」(ミクロンのウェブサイトより)

ロシアが半導体国産化を目指している。ウクライナで戦争を続けるロシアへの半導体輸出には制限が設けられており、軍事技術を維持するためには自前の半導体サプライチェーンの構築が待ったなしだ。しかし、技術は20年以上前のもので、歩留まりも悪く、前途は遠い。

ロシアのファウンドリー(半導体製造受託メーカー)のミクロン(Mikron Group)は今年2月、100%国産の新型マイクロコントローラ「MIK32 Amur」の発売を宣言した。同製品は、32ビットRISC-Vをベースに設計され、1999~2000年の技術である回路線幅180ナノメートル(nm)の製造プロセスを採用した。歩留まりは50%にとどまるとされる。

ロシアへの半導体製品の輸出規制が敷かれるなかで、同国のCPUメーカーであるBaikal Electronics社は、半導体製造においてより多くの国内ファウンドリーとの協業を迫られており、ミクロン社もそのうちの1社だ。

ロシアの現在の半導体ウエハー製造レベルでみると、量産可能な半導体は90ナノプロセスにとどまり、65ナノプロセスを辛うじて小ロット生産できる状態だ。それだけに、ミクロン社による180ナノ半導体の「国産化」は予想の範囲内だ。

調査会社ImportGeniusによると、2021年上半期のロシアの半導体輸入額は4000万米ドル(約62兆6554億円)と少なく、通年の規模は1億米ドルにとどまったとみられる。ところがウクライナ侵攻後は急増し、23年は20億米ドルだった。ただ輸入量は21年の2522キログラムから23年の2320キログラムに減少しており、輸入額の急増は、制裁をすり抜けて業者が転売した可能性に加え、21年に1411米ドルだった輸入単価が2730米ドルに急上昇したことがある。

ロシアは近年、マイクロエレクトロニクス産業の育成計画を打ち出し、2030年までに約3兆1900億ルピーを投入して、半導体の生産・開発、データセンターの建設などを進めていく計画を定めた。半導体製造プロセスに関しては、27年に28ナノプロセス、30年に14ナノプロセスの実現を目指している。

ロシア科学アカデミー傘下の応用物理学研究所は先ごろ、ロシア初となる半導体露光装置の開発に取り組むと発表した。28年の完成を目指しており、7ナノ半導体を生産できる上に、性能は業界トップの蘭ASMLの製品に引けをとらないとしている。

Mikron Group

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