中国産DUV露光装置、対応プロセスは55~65nm止まり

米蘭との技術差大きく

(SMEEより)

中国の半導体情報メディア『芯智訊』は17日、中国国産の深紫外線(DUV)露光装置の性能レベルを分析した記事を掲載した。同記事は、同国産DUVの解像度は65ナノメートル(nm)で、半導体露光装置の中国最大手、上海微電子装備(SMEE、上海市)が先に発表した解像度90nmの国産露光装置の改良版に過ぎないと指摘。対応できる半導体製造プロセスは線幅55~65nmの成熟プロセスにとどまり、期待される28nmプロセスには到底及ばないと結論付け、米国やオランダなどの半導体先進国とのレベル差を認識すべきだと論じている。

中国工業和信息化部は6月20日、ハイエンド機器の国産品購入を促す制度の対象品目を掲載した「ファーストセット重大技術装備推進応用指導カタログ」の2024年版を発表。集積回路(IC)生産設備の部で、KrF露光装置とDUV露光装置を収載した。工業和信息化部は9月9日に同カタログを再び通知し、中国のインターネット上で最新の国産DUV露光装置への関心が高まった。

政府の公式発表によると、同DUV露光装置は解像度≤65nm、オーバーレイ精度≤8nm。解像度はSMEEがこれ以前に発表したSSA600よりも上がったものの、28nm半導体製造プロセスに対応できるレベルには到達できておらず、ましては8nm、7nmの微細プロセスへの対応は到底不可能だ。一部のネットユーザーは、オーバーレイ精度の数値がそのまま半導体製造プロセスノードであると勘違いしているが、露光装置の精度は主に解像度をみるため、解像度≤65nmである同国産DUV露光装置が対応できるプロセスノードは65nmだと推察できるという。

露光装置大手の蘭ASMLが2015年第2四半期(4〜6月)に出荷を開始した露光装置「TWINSCAN XT:1460K」は解像度≤65nmだが、オーバーレイ精度は<5nmだった。カタログ収載された中国産DUV露光装置は65nmプロセス、ひいてはそれよりも微細な半導体製造プロセスに使用できるとみられるが、オーバーレイ誤差は「XT:1460K」よりも大きく、性能は9年前のASML製品に劣ることになる。同中国製DUV露光装置の性能は、ASMLが2006年に投入した「XT:1450」(解像度57nm、オーバーレイ精度7nm)に近く、ASMLとの技術差は実に18年を超える。

半導体業界では28nmプロセス半導体の量産において、ASMLの「NXT:1970(ArF液浸露光装置)」を採用した。その性能は解像度≤38nm、オーバーレイ精度<3.5nmに達した。中国は28nm半導体の量産時期が半導体先進国よりも遅かったため、使用した露光装置はオーバーレイ精度が<2.5nmに高められたASML製「NXT:1980」だった。半導体製造企業は同装置を使って多重露光を行うことで、7nmプロセスでの製造も実現した。ファウンドリー(半導体受託生産会社)世界首位のTSMC(台湾積体電路製造)の第1世代7nmプロセス半導体も、「NXT:1980」を使って製造された。

米国とオランダが対中半導体規制において、「NXT:1980」より先進の露光装置の輸出を規制したことは、これらに起因する。その後、「NXT:1970」と「NXT:1980」を使った多重露光によって先進半導体を製造する能力を備える中国企業も輸出規制の対象に加えられた。

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