「高性能GPU」に注目集まる、中国企業の動き活発
「ChatGPT」のような生成AIを商用化に導く高性能画像処理チップ(GPU)設計の分野で、中国企業が力を付けつつある。中国では次世代のスタートアップ型GPU設計企業が続々と立ち上がっているほか、株式市場では関連銘柄の株価が急伸している。
新興企業の中核メンバーは、GPU業界をリードするエヌビディア(NVIDIA)やAMDといった大手企業出身者であるケースが多い。これらスタートアップ企業は資金調達を繰り返すとともに、次々と新製品を打ち出し、市場の表舞台に立ちつつある。
一方、電子製品メーカーの長沙景嘉微電子は、中国で初めて国産GPUの開発・実用化に成功し、高性能GPUチップを続々と投入した。新世代GPUのJM9シリーズは、高性能ディスプレーの需要とAIコンピューティングの需要を満たしており、将来的にはAIビッグモデルやクラウドコンピューティングといった先端分野での実用化が見込める。
サーバー向けCPU開発の海光信息は、GPを汎用目的に使うGPGPUのアーキテクチャをベースにコプロセッサ(DCU)を開発。DCUシリーズの「深算一号」はすでに商用化を実現し、ビッグデータ処理、AIなどの分野で応用されている。
同じくCPU開発の竜芯中科技術は2017年にGPU開発に着手。自社初の自主開発製品であるGPUコアがすでにテープアウトした。
通信機器・設備大手の中興通訊(ZTE)は2022年の業績説明会で、ChatGPTを支持するGPUサーバーを年内に投入する計画を発表した。
■中国のGPU市場は345億米ドルに
9日付け財聯社によると、ChatGPTのような生成AIは、高性能なGPUを大量に活用することで、その学習時間を短縮できる。今後、GPTモデルの商用化に必要なGPUの数は3万個を超えると予測されている。Verified Market Researchによると、2020年に47億3,900万米ドル(約6,260億2,200万円)だった中国の独立GPU市場規模は、2027年に345億5,700万米ドルを超える見通し。