GPU設計の沐曦、数億元の調達完了
高性能な画像処理半導体(GPU)の設計を手掛ける沐曦集成電路(上海市)は8日、「シリーズA」(事業開発段階の資金調達)1つ前の段階となる「プレシリーズA」による数億元の調達が完了したと発表した。光速中国創業投資基金、紅杉資本中国基金や真格基金など複数の投資企業が出資した。沐曦は汎用型の高性能GPUの研究開発(R&D)を加速するとみられる。8日付澎湃新聞などが伝えた。
沐曦は2020年9月、上海市で設立され、高性能GPUの設計と研究開発(R&D)をする新興企業。世界の一流企業でIP(知的財産権)設計やGPU量産プロセスに20年以上にわたって携わった人間が中核にいるほか、40ナノメートル(nm)、7ナノのチップ設計経験を持つ人材など100人余りの経験豊富な人材を擁する。北京市、南京市、杭州市、成都市にもR&Dセンターを設立している。
現在、世界でGPUを製造しているのは米国の大手エヌビディアとAMDの2社のみ。高速パフォーマンスを重視するエヌビディアは「GEFORCE」を、映像処理に強いAMDは「RADEON」をそれぞれ製造している。
国内設計のハードルは高いものの、中国の業界関係者は「中国企業の高性能GPUに対する需要は日増しに高まっている。沐曦がいずれ同分野での国内での空白を埋めてくれるだろう」と話している。
高性能汎用GPUのチップは、強力な並列演算能力で気象や遺伝、新エネルギーなど幅広い分野で活用されている。米調査会社IDCは、2023年の中国GPUサーバーの市場規模が300億元(約5,007億円)に、24年には約450億元に達すると予測。このうち、GPUチップは市場の約50%を占める。25年の中国GPUサーバー市場では、GPUチップの市場規模は270億元になるとみている。