富士康の自動車参入、「OS」「半導体」「受託製造」3本立て
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)が自動車分野での動きを活発化させている。同社関係者は4日、電気自動車(EV)事業について、「車載用OS」、「第3世代半導体」、「受託製造」の3本立ての体制を構築したと明かした。
南方財経が伝えた。「車載用OS」の分野では、提携先の台湾自動車大手、裕隆集団を通じ、自社開発OSを搭載した初の量産モデル「Luxgen n7」を下半期に投入する。
富士康は、裕隆集団との共同出資会社「鴻華先進」を設立するとともに、米EVスタートアップのローズタウン・モーターズを買収。タイに新たな工場も設立し、EVの開発・生産体制を整えた。
鴻華先進は現在、EVソフトウェア・ハードウェアのオープンプラットフォーム「MIH」の構築を進めており、鴻華の劉楊偉董事長は以前に、テスラを「EV業界のiPhone(アイフォーン)」と例えた上で、「富士康はEV業界のアンドロイドになることを目指す」と意気込みを語っている。
半導体分野では、炭化ケイ素(SiC)を材料にした第3世代パワー半導体の展開を本格化。傘下の台湾半導体大手、旺宏電子(マクロニクス)が台湾の新竹科学園区(サイエンスパーク)工場で、EV用の6インチSiCパワー半導体を生産する体制を整えた。富士康はさらに台湾半導体メーカーの即思創意(Fast SiC)の株式40%を取得し、EV向けSiC―MOSFET(金属酸化膜半導体電解効果トランジスタ)を共同開発する。
一方、受託製造は、富士康の自動車製造分野における重点業務だ。同社関係者は、富士康は自動車製造参入に当たり、独自ブランドの樹立ではなく、世界の自動車メーカーの受託工場となることを目標に掲げている」と語った。
富士康は4日、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)と自動運転の車両プラットフォームを開発するためのパートナーシップを締結したと発表した。今後は自動車の製造能力を持たない企業からEV製造を受託するだけでなく、自動運転EVの製造にも対応していくものとみられる。