AIが半導体製造の内製化を加速、上海市で「SEMICON China」開催

世界最大規模・最高水準の半導体展示会「2026 SEMICON Chinaが25〜27日の3日間、上海市で開催された。今回は半導体装置の進化にとどまらず、AI(人工知能)が設計と製造をどのように再構築し、先端プロセスが装置のアップグレードをどのように促進しているかが集中的に示された展示会となった。
半導体市場は今年1兆ドルを突破へ
世界半導体市場統計(WSTS)のデータによれば、2025年の世界半導体売上高は7917億ドルに達し、前年比25.6%増を記録した。米国半導体工業会(SIA)のジョン・ノイファー(John Neuffer)会長兼CEOは、2026年の世界売上高が約1兆ドルに達すると予測している。
国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の中国総裁である馮莉(フォン・リー)氏は「私たちはかつて2030年に1兆ドル規模を達成すると予測していたが、この目標は前倒しとなり、2026年に実現できる可能性がある」と述べた。同氏はこれが、世界の半導体産業がまったく新しい成長サイクルに引き込まれていることを意味すると見ている。
AIブームに依存する半導体産業
今回の2026 SEMICON Chinaでは、AIが設計と製造をどのように再構築し、先端プロセスが装置のアップグレードをどのように促進しているかが、展示会の会場で集中的に示された。
消費電子や在庫変動が主導してきた従来のサイクルとは異なり、今回の半導体産業の成長はAIへの依存度が高い。AI算力(コンピューティングパワー)需要の急速な拡大と、世界のデジタル経済の継続的な深化が主要な牽引力となっている。
AIの半導体業界への浸透は設計側と製造側の双方に同時に及んでおり、長年にわたってプロセスの微細化に依存してきた進化の道筋を変えつつある。
晶合集成はAIをウエハー工場の運営体系に導入
製造側では、シリコンウエハーの受託生産(ファウンドリー)の合肥晶合集成電路(NEXCHIP、安徽省合肥市)がAIをウエハー工場の運営体系に直接組み込む試みを行っている。同社は「Agentic AI(エージェントAI)」の概念を導入し、DMCOアーキテクチャに基づくAIエージェントによる歩留まり管理体系を構築した。知覚・診断・最適化などの複数のエージェント役割を展開し、設備に「知覚—認知—意思決定—行動」のクローズドループ能力を持たせている。
実際の効果は一部の工程ですでに現れており、不良原因の特定にかかる時間が38時間から5.4分に短縮され、フォトリソグラフィー、エッチング、CMPという3大コアプロセスの歩留まりへの平均貢献度が約50%向上した。
時代週報によると、晶合集成の共同総経理である鄭志成氏は「AIが製造を支援するこの分野において、晶合集成は早くから取り組み、遠くを見据えてきた。AIは個別の単点ツールであるべきではなく、ウェーハ工場全体を自律的な進化へと駆動するコアエンジンでなければならないと確信している」と述べた。
AIが製造側で解決するのが効率の問題だとすれば、設計側においてその役割はシステム能力の構築へと転換しつつある。
EDAの芯和半導体はデジタルツイン構築
従来のEDA(電子設計自動化)体系では、ツールチェーンは主に単一チップの設計に対応しており、パッケージング、基板、さらには完成品の環境は安定した外部条件として前提とされてきた。しかしAIハードウェアの場面では、この前提が崩れている。チップレット、先端パッケージング、ヘテロジニアス集積、高帯域幅メモリと超高速インターコネクトにより、チップは「独立した単体」から複雑なシステムの一部へと変貌し、電磁・熱・応力などの多物理場の結合効果が著しく強まっている。
芯和半導体(上海)股フン(上海市)の凌峰(リン・フォン)会長は時代週報などのメディアの取材に対し、従来のEDAはシステムレベルの設計において明らかな断層があり、全体アーキテクチャの予測能力を欠いていると指摘した。電磁・熱・応力などが個別にシミュレーションされ、相互間の強い結合効果と連鎖反応が無視されており、チップ設計工程にしか対応できず、パッケージング・テスト、材料、放熱などの川上・川下産業を支援できないという。
このため芯和半導体はSTCOシステムレベルEDAを提唱し、仮想世界の中で事前にデジタルツインシステムを構築し、AIサーバーやAI PCなどの実際のシステムアーキテクチャの中でシミュレーションを行い、チップ設計とシステムの放熱・電源供給・構造との協調マッチングを確保することで、システムリスクを源流から低減する。
同時に、AIはEDA自体をも逆方向から変革しつつある。芯和半導体の創業者・総裁である代文亮(ダイ・ウェンリャン)氏は、同社が「AI for EDA」の技術実装を推進していると述べた。従来のEDAシミュレーションは設計の複雑さが高く計算サイクルが長いという業界の課題を抱えているが、AI大規模モデルの導入により、構造入力からシミュレーション結果までを秒単位で出力することが可能となり、チップとシステムの設計効率が向上する。
中微公司などが先端プロセス向けの新世代装置
設計側・製造側のパラダイム変化と呼応するように、製造側の装置構成も同時にアップグレードされている。
東呉証券のリサーチレポートは、プロセスの世代交代が装置構成のアップグレードを促進し、エッチングと薄膜堆積の付加価値が高まっていると指摘する。エッチングと薄膜堆積は前工程装置の中で価値比率の上位3位に位置し、プロセスの進化とともに上昇傾向にある。多重露光、先進金属材料の代替、新型構造の導入により、装置の台数と工程の複雑さが同時に増大している。
この傾向は今回の展示会でも具体的に示された。国内トップクラスのエッチング装置メーカーである北方華創(NAURA、北京市) と半導体製造装置の中微半導体設備(上海)股フン(AMEC、上海市)はいずれも先端プロセス向けの新世代装置を発表した。北方華創は新世代12インチ高性能誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置を発表し、先端ロジックと先端メモリ分野の重要なエッチング工程需要に照準を合わせた。
中微公司は新世代ICP誘導結合プラズマエッチング装置と高選択比エッチング装置を出展した。前者は5nm以下のロジックチップ技術および同等の技術難度の先進メモリチップ製造分野に対して、自律制御可能かつ技術的に先進なICPエッチングプロセスソリューションを提供するものだ。後者はGAAと3D-DRAMの高選択比エッチングという難題を克服し、国内における次世代3D半導体デバイス製造における重要なエッチング工程の自律化の空白を埋めるものとなっている。
工程そのものの観点から見ると、エッチングプロセスにおける高選択比とは、目標材料が迅速に除去される一方でマスクや非目標材料への影響が極めて小さいことを意味し、過剰エッチング・損傷・寸法誤差の回避に有効だ。ロジックデバイスのゲートエッチング、メモリの高アスペクト比構造加工などの先端工程において、高選択比エッチングはすでに不可欠なコア工程能力となっている。
日本からはキヤノン、ニコン、東京精密、上野精機、コクサイエレクトリックなどが出展した。




