米TI、米国に600億米ドル超を投資へ 7カ所の半導体工場を新設・拡張

米半導体大手Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、TI)は現地時間18日、米国内において総額600億米ドル(約8兆7180億円)を超える投資を行い、半導体製造工場を新設・拡張する計画を発表した。この動きは、米国の半導体産業回復を後押しする「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」と、トランプ現政権による米国内製造推進の圧力の中で進められている。
TIは2024年12月、CHIPS法に基づき180億米ドルの投資計画を発表した後、バイデン前政権から16億1000万米ドルの補助金を獲得。この資金は3カ所の新工場建設を支援する目的で支給された。
今回発表された600億米ドルの投資は、テキサス州とユタ州の3拠点にまたがる7カ所の工場新設・拡張に充てられる予定で、うちテキサス州シャーマンには2つの新工場が建設される。TIはこれにより6万人の雇用創出を見込み、「米国半導体製造業に対する過去最大の投資」としている。
同社は24年8月には、シャーマン工場に最大400億米ドル、ユタ州および他のテキサス州拠点に最大210億米ドルの投資を示唆していた。TIは長期的な設備投資計画に変更はなく、今回の総額にはすでに建設中、あるいは稼働中の施設への資金も含まれている。
なお、TIは米政府によるCHIPS法補助金が始まる以前から、自社生産体制の強化を進めていた。業界全体がアウトソーシング化を進める中、同社は米国内に高性能な新工場を建設することで競争力を高め、中国勢との競争に備える戦略を取っている。