小米の3nm SoC設計、中国半導体業界の「重要な一日」

(小米の発表より)

中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ、北京市)の創業者で最高経営責任者(CEO)の雷軍(レイ・ジュン)氏は19日、北京市で自社開発の3nm(ナノメートル)プロセスによるスマートフォン向け最新SoC(システム・オン・チップ)「玄戒O1」を正式発表した。中国本土における初の3nmチップ設計の成功を意味し、半導体業界に衝撃を与えている。

同3nmプロセスは現在、米Apple(アップル)の人気スマートフォン「iPhone 16 Pro」「iPhone 16 Pro Max」に搭載されている同社のSoC「A18 Pro」と同等の最先端技術。これまで小米の主力スマートフォンに搭載されるSoCは主に米半導体大手クアルコム(Qualcomm)製で、「Snapdragon」シリーズが中核を担ってきた。

一方、製造コストと技術的難易度の高さから、スマートフォンメーカーの中でSoCを自社設計できるのはアップル、韓国サムスン電子、華為技術(ファーウェイ)など限られた企業にとどまっている。そのため、小米もSoCを内製化することでハードウェアとソフトウェアの連携性を高め、他社との差別化が可能になることを意味する。

米メディアCNBCの現地時間19日の報道によると、クアルコムのクリスティアーノ・アモン最高経営責任者(CEO)は、小米の自社開発SoCチップ「玄戒O1」について、「同社のビジネスに影響はない」との見解を示した。アモン氏は、「我々は依然として小米の戦略的チップサプライヤーであり続ける。特に重要なのは、クアルコムのSnapdragonチップが小米のフラッグシップモデルに搭載されており、今後もその関係は変わらないことだ」と語った。

SoC開発に2700億円投入

小米は14年に自社チップの開発を開始した。17年には自社開発チップ「澎湃S1」を発表しているが、当時はさまざまな要因でプロジェクトは中断されていた。以降は、電源管理や画像処理に特化した半導体など、小規模チップの開発を継続し、技術基盤を培ってきた。21年から再び大規模SoC開発に挑戦していた。

小米のCEOである雷軍氏によると、「玄戒O1」の開発プロジェクト開始当初から、「最先端の製造プロセス、フラッグシップ級のトランジスタ数、業界最上位レベルの性能と電力効率」を目標に掲げた。開発期間は4年以上に及び、今年4月末時点で135億元(約2700億円)以上が投入された。開発チームは現在2500人を超えており、2025年の研究開発費は60億元を超える見込みだという。

また、小米の広報担当者は、10年間で500億元規模の追加投資が25年から本格的に始動する予定であることを認めている。

小米は22日には、新型スマートフォン、タブレット、電気自動車(EV)などを発表するイベントを予定しており、その場で「玄戒O1」を搭載した新たなフラッグシップスマートフォン「小米15s Pro」と、プレミアムOLEDタブレット「小米Pad 7 Ultra」もお披露目される見通しだ。

今回の玄戒O1は、小米が再びスマートフォンの中核部品であるSoC分野に本格参入することを示しており、中国の半導体産業全体にとっても大きな一歩となる象徴的な出来事となっている。

さらに製造面では中芯国際(SMIC)がN+2世代のプロセス量産を目指しているほか、設計面では5nm車載チップやサーバーチップにおいても成果が出ている。

雷军:小米玄戒O1,3nm旗舰处理器,力争跻身第一梯队旗舰体验。

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