米国が半導体関税導入へ、最大100%の税率案も浮上

米国のトランプ前大統領が、早ければ今週中にも輸入半導体への関税導入を発表する見通しだ。市場では税率が25%から最大100%に達する可能性があると予測されており、業界では緊張が高まっている。
集微網が伝えた。台湾の半導体企業関係者は、「台湾の半導体産業は“シリコンシールド”と称される戦略的優位性を持つが、今回の関税政策によりその優位が損なわれる可能性がある」と懸念を示す。仮に高関税が課された場合、米国の顧客は韓国や日本など他の国・地域のサプライヤーへ調達先を変更する可能性がある。また、中国が半導体の自給自足体制を加速させる契機にもなりうる。
さらに、米国政府が掲げる「米国製造の推進」が加速すれば、関税政策は中国や他国による報復措置を招き、サプライチェーンの混乱が拡大する可能性がある。台湾のIC設計企業も、4月初めに発動された相互関税では目立った注文減少は見られなかったとするものの、「半導体への関税はコスト構造全体に深刻な影響を及ぼす」と指摘する。
課税基準が「ウェハー製造地」ベースになる可能性も指摘されており、台湾を含むアジアの半導体企業が大きな影響を受ける恐れがある。
もし新制度が製造地ベースでの課税を採用すれば、米国企業がアジアで製造しているチップも対象となり、最も影響を受けるのは米国系企業自身となる可能性もある。この結果、一部生産能力の米国回帰も検討されうるが、調達期間の延長、物流遅延、コスト上昇などの課題が避けられず、企業の収益や競争力を損なう恐れがある。
業界では、半導体は上流産業であるため、ある程度は下流へのコスト転嫁が可能とみられているが、複数のチップが搭載される現代のデバイスでは転嫁が積み重なり、最終製品価格が大幅に上昇する懸念がある。このため、台湾の半導体業界では現在、関税政策そのものよりも、消費者需要がどこまで影響を受けるかが最大の関心事となっている。