トランプ氏の台湾関税、米国の半導体コストは59%値上がりと予測

米業界動向メディアのVerdictは、トランプ米大統領が台湾製半導体に100%の関税を課した場合、世界の半導体サプライチェーンに深刻な影響が及ぶほか、半導体製造を台湾に依存している企業のコスト上昇を招き、米国の半導体価格が59%上昇すると予測した。
米シンクタンク、情報技術・イノベーション財団(ITIF)のグローバル・イノベーション政策担当バイス・プレジデントであるエゼル氏は1月28日に同財団のウェブサイトに掲載した記事の中で、「トランプ大統領は、台湾の半導体に対する関税が100%に引き上げれば、台湾の半導体工場は関税を避けるために米国に工場を移転するという考えを前提としている」と分析する。
一方、Verdictの報道によると、米国国際貿易委員会(USITC)が実施した米国の半導体産業の依存度に関する調査では、米国が輸入するロジック半導体の44.2%が台湾から供給されている。そのため、台湾の半導体に100%の関税を課した場合、半導体受託生産(ファウンドリー)世界大手の台湾積体電路製造(TSMC、台積電)に関税を課すとほぼ同等で、米国の半導体価格が最大59%上昇する可能性があると指摘した。
世界のファブレス半導体企業の受注量の約65%を、Apple(アップル)、Broadcom(ブロードコム)、Qualcomm(クアルコム)、Intel(インテル)、NVIDIA(エヌビディア)など米国企業が占めている。米国が台湾製半導体への関税を引き上げれば、米国企業の事業コストが大幅に上昇し、台湾製半導体に依存する米国企業が海外に事業拠点を移す可能性さえあると指摘している。
加えて、台湾企業はマレーシアやベトナムなど、半導体生産の代替拠点となりつつある場所に事業拠点を移すことで、税金を回避する可能性もある。
TSMCは2020年以降、米国アリゾナ州に650億米ドル(約9兆9450億円)を投資し、3つの半導体工場の建設を進めているが、ファブが本格的に立ち上がるまでにはまだ期間が必要だ。
米調査会社Signum Intel(シグナム・インテル)の創業者兼CEOであるオム氏は、「TSMCが米国でチップ製造能力を拡大している一方で、TSMCに代わる企業はまだ米国にはない」と指摘した。