中国は米国向けコンテナ船運航停止か、報復応酬に世界経済が動揺

米中間の激しい応酬が世界経済を揺るがしている。米ホワイトハウスは現地時間15日、「1962年通商拡大法232条」に基づく調査の事実を発表し、中国に対し「最大245%」の関税を課すことになるとの見解も示した。これに対して中国サイドは、米国向けコンテナ船の運航を暫定的に停止することも示唆するなど強硬な姿勢に出ている。
米中間の貨物輸送は、世界のサプライチェーンの重要な一部であり、同区間のコンテナ船運航停止は世界的な物流コストの上昇と物流チェーンサイクルの延長を意味する。中国製造業に依存している美国企業にとって深刻な打撃になることは疑いない。
長平投研によると、米国の遠洋輸送会社は、トランプ大統領による関税引き上げや貿易戦争の緊張の高まりによって注文が減少し、中国から出発する貨物船の運航キャンセル(欠航)が増加しているという。
貨物輸送会社HLSグループの記録によると、中国から出発するキャンセル便(いわゆる「ブランク・セーリング」)は合計で80便に達している。同社が最近顧客に送った報告書には、「米中間の貿易戦争による需要急減のため、航運会社はすでに太平洋横断航路のサービスを停止、または調整し始めている」と記されている。
国際的な主要遠洋貨物輸送アライアンスである「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」は、5月に再開を予定していた航路の運航を「追って通知があるまで」停止したと発表した。この航路には青島、寧波、上海、釜山、バンクーバー、タコマなどの港が含まれていた。同時に、既存の航路の一つでは、ノースカロライナ州ウィルミントン港への寄港を取りやめる計画も明らかになっている。
北米向けの貨物コンテナの輸送量が減少することは、貨物を取り扱う港湾や物流会社を含む経済およびサプライチェーンの多くの部分に大きな影響を及ぼす。各便が8,000〜10,000TEU(20フィート換算の標準コンテナ)を運ぶとすると、欠航80便で合計64万〜80万個のコンテナの減少となる。これにより、港のクレーン作業の減少、徴収可能な料金の減少、さらにはトラックや鉄道による輸送量、倉庫への搬入量の減少などが引き起こされる。
国際通貨基金(IMF)と世界銀行は以前に、米中間の貿易衝突は世界経済の成長ペースを0.5ポイント鈍化させるとの見方を示した。
米中双方の競争はいまや、経済の範疇を超えて、政治、技術、戦略などの多層面に及んでいる。今後、関税引き上げの応酬や、技術封鎖、供給網の現地化などが進めば、世界市場は持続的な不確実性に直面することになりそうだ。
一方、中国にとっては、試練でもありチャンスととらえる向きもある。中国は引き続き、経済構造の転換と、科学技術イノベーション能力の引き上げにまい進すると同時に、「一帯一路」構想などの国際協力の拡大と、その他国家との経済連携強化により、単一市場への依存を引き下げる戦略だ。