中国でAIとスマートデバイスの融合進む、関連企業は24年好業績

AI(人工知能)技術と新スマートデバイスの融合が加速度的に進むなか、中国の関連サプライチェーン企業が快進撃を遂げている。これまでに2024年度決算速報を発表した企業の多くが大幅増収増益を叩き出した。
電子機器大手の歌爾(GoerTek、山東省イ坊市)は25日に2024年12月期の業績予想を開示し、純利益が前年同期比135~155%増の25億5700万~27億7500万元(約524億6300万~569億3600万円)になるとの見通しを明らかにした。大幅増益の理由として、◇AIをはじめとする新技術の後押しを受けて、民生用電子機器の個人需要が回復したこと◇精密部品部門、スマートデバイス部門のVR/MR事業、スマートウエアラブル端末部門などの各事業が好調に推移し、粗利益率が向上したこと――の2点を説明した。
同社は今後の見通しについて、「テクノロジー業界は新たな産業的利益を醸成しつつある。AI、メタバース、スマートデバイスの融合は電子機器業界に新たな発展の好機をもたらす」と期待を示した。
このほか、恒玄科技、炬芯科技など、オンデバイスAIチップを手掛ける企業の24年業績速報も、総じて大幅増収増益となる好内容だった。いずれの企業も、川下市場の需要回復を追い風とみて、オンデバイスAIチップ関連製品を充実させていく戦略を示した。
経済観察報によると、北京市社会科学院の王鵬副研究員は、「ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)機能を備えるデイバス製品であれば、すべての企業が生成AIとの融合を試すことを考えるだろう」と話す。
王氏よれば、中国DeepSeek(ディープシーク)の登場は、とりわけAI向けSoCチップの需要を拡大させる。端末の頭脳となるSoCチップは、エッジデバイスのAI搭載が進むにつつれて、AIとエッジコンピューティングを統合する役割を担うようになるだろう。
すでに多くのデバイスメーカーがDeepSeekの採用を決めている。スマートフォン業界では、OPPO、栄耀(Honor)、魅族(Meizu)などがDeepseekとの融合を完了したと発表。自動車業界でも、吉利汽車、東風汽車、長城汽車などが続々とDeepSeekの搭載を決めた。
ABIリサーチ社は、オンデバイスAI市場は急ピッチな拡大を続けており、中小型オンデバイスAI機器の年間販売台数は平均32%のペースで増え、2028年に40億台に達すると予測。2030年には、AIとIoTを組み合わせたAIoT対応機器の75%が高エネルギー効率の専用ハードウエアを採用するとの見通しを示した。