台湾のAIサーバーなど7社、テキサスへ視察か=台湾紙
トランプ関税戦争の対応策模索で

19日付台湾財経新報によると、トランプ米政権の関税戦争を受け、電子機器受託製造サービス(EMS)世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業など台湾のAIサーバーのOEM(受託生産)を手掛ける台湾の7社がこのほどテキサス州を視察に訪れたという。一部のメーカーは5月10日までに米国への投資拡大計画を発表する見通しだ。
台湾財経新報によると、テキサス州を視察したのは、鴻海のほか、広達電脳(クアンタ・コンピューター)、緯創資通(ウィストロン)、英業達(インベンテック)、仁宝電脳(コンパル・エレクトロニクス)、和碩聯合科技(ペガトロン)というAIサーバー関連メーカー7社。
業界の試算では、テキサス州だけで土地や工場を取得するには少なくとも20億米ドルかかる。さらに新工場に自動化設備などを導入する場合の見積もりは合計約30億〜50億米ドル。7社がいずれも米国に新たに投資したと仮定すると、投資総額は数千億台湾元に達する見通しだ。
台湾企業が米国とメキシコに構えるODM(他社ブランドによる設計・製造)工場の生産量は、全生産量の15%未満にとどまる。市場が拡大するAI(人工知能)向けのサーバー需要に対応するのに十分な規模ではないほか、トランプの政策は台湾企業が米国投資を加速するためのちょうど機会になるとみている。
トランプ政権は先月、ソフトバンクやOpen AIが参画して米国でAI向けサーバーインフラを構築するプロジェクト「Stargate(スターゲイト)」を開始を宣言した。最初のAIデータセンターはテキサス州に設置される予定。テキサス州政府はまた、ソフトウエアと低軌道衛星産業の町を構築する計画だ。
鴻海は現在、米国内に設けているサーバー拠点は50カ所で、約5,000人の従業員を雇用している。広達電脳はカリフォルニア州とテネシー州という2つの工場を持つ。緯創資通は昨年、テキサス州の土地と工場を買収した。英業達の蔡志安総経理は先に、米国の工場用地をいくつか見ており、「テキサスに上陸する可能性もある」と述べた。仁宝電脳も北米での生産拠点設立を検討しており、テキサスを第一候補としている。