中国半導体業界、24年のM&Aは31件  アナログチップがメイン

中国の金融情報大手の万得信息技術(Wind)によると、2024年の中国半導体業界で発生したM&A(合併・買収)は合計31件だった。このうち、半導体材料とアナログチップ関連企業の案件が最も多く、合計14件で半数近くを占めた。第一財経日報が伝えた。

24年のM&Aでは、鍇威特、希萩微、晶豊明源、納芯微などアナログチップ分野が7件に及んだ。アナログチップのM&Aは、主に電源管理、信号チェーンやパワーICなど。

電力管理ドライバーチップ開発の晶豊明源は昨年10月、同業の四川易冲の経営権取得を発表した。スマートフォンや自動車向けの電力管理ドライバーチップ製品ラインアップを拡大する効果があるほか、サプライチェーンを共有できるメリットがあるとしている。

そのほか、宏微科技は常州綿創電子を完全買収したほか、納芯微は10億元(約214億5000万円)を投じて麦歌恩を完全買収、鍇威特は智芯微の51%株式を取得、希萩微はZinitixと誠芯微をそれぞれ買収している。

半導体材料関連のM&Aは7件だった。このうちの3件が上流工程のウエハーメーカーで、立昴微、TCL中環、和有研硅。半導体製造装置関連は2件で、中巨芯と艾森股フンだった。

半導体パッケージ向け原料関連のM&Aは2件。華威電子は当初、徳邦科技に対してM&Aをアプローチして失敗した後、華海誠科による華為電子の株式70%の買収案件が進行中だ。

後工程で大型案件

また昨年3月、半導体後工程(封止・検査)を手掛ける長電科技(JCET)が関係する大型M&A2件が注目された。長電科技は45億元を投じてハードディスクドライブとフラッシュメモリー製品製造の米Western Digital(ウエスタンデジタル)の中国法人、晟碟半導体(上海)の持分80%を取得して傘下に収めた。その後、中国国有コングロマリットの華潤集団が117億元を投じて長電科技の支配権を取得した。

これに比べ、デジタル回路分野のM&Aは少なく、兆易創新と雲天励飛の2件のみだった。兆易創新と共同出資者は、蘇州賽芯の株式の70%を5億8000万元で取得している。

アナリストによると、「24年のM&Aは競争が激化する半導体の中・上流分野に集中した。M&Aは、対象企業の資金調達を改善し、リソースの共有、技術の統合を実現し、企業が市場を拡大し、ブランド影響力を高めるのに役立つ」と指摘した。

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