中国の半導体製造装置業界、悪性競争に警戒感も
中国の半導体洗浄装置メーカーの盛美半導体装置(盛美上海、ACM Research)の王暉董事長は、9月下旬に江蘇省無錫市で開催された「半導体装置・コアコンポーネント展示会(CSEAC 2024)」で、中国の半導体製造装置業界にはびこる悪性競争と不正な装置改造に警戒感を示した。
米国の対中半導体輸出規制が強まるなか、中国では半導体製造装置などの内製化の機運が高まっている。その半面、同業企業、特に新興企業の間で、低価格競争、不正な装置改造、技術盗用といった悪性の競争が表面化してきた。
王氏によると、中古品を1台購入して、その技術を盗用したコピー品を製造する行為は中国の知財法に反すると指摘。さらに不正な装置によって生産された半導体を海外で販売すれば提訴されるリスクを伴うと強調した。
半導体業界関係者によると、中国の中小半導体製造装置メーカーの間では、高い条件で他社から引き抜いてきた人材に不正な改造品やコピー品を造らせ、中微半導体(AMEC)や盛美半導体といった業界大手のシェアを侵食する行為が一部でみられるという。
また、国内の半導体製造装置メーカーの場合、例えば粗利率が40%の場合、このうちの10%が研究開発(R&D)投資に振り向けて装置の自主開発に取り組む必要がある。だが国内メーカー同士の低価格競争によって粗利率が低下しており、十分なR&D費用が捻出できていないメーカーが多い。
「国際半導体製造装置材料協会(SEMI)」の統計によると、2024年の世界の半導体販売額は前年比16%増の6112億米ドル(約90兆9144億円)がみこまれる。OEM(相手先ブランド製造)による半導体製造装置の同年の世界販売額は3.4%増の1090億米ドルに達すると予想される。
中国本土の半導体製造工場は、オランダのASML、米国のアプライドマテリアルズ、KLAテンコール、ラムサーチ、日本の東京エレクトロンの設備とサービスに大きく依存している。
アプライド マテリアルズ、KLAテンコール、ラムサーチの最新の四半期決算によると、中国本土市場は各社の売上高の約44%を占めた。東京エレクトロンとASMLのシェアはさらに高く、東京エレクトロンの今年6月の売上高の49.9%は中国本土から、ASMLも49%は中国本土からだった。
一方、中国では半導体装置の国産化が加速している。18年から23年までの5年間で、半導体製造装置の国産化率は3%から8.5%に成長した。中国国際招標(入札)網の統計によると、23年の半導体製造装置の国産設備の入札率は46.4%に達し、川下のウエハーメーカーも国産半導体装置を多く採用する傾向が出ているとされる。